大阪の繁華街・ミナミが、異常な熱気に包まれている。
休日ともなると、商店街を埋め尽くすほどの人だかりになる。「ミナミがこんなに混雑しているなんて、いままでにない」(40代女性)、
「お店から人が溢れそうになっていて、とても入られへんかった」(20代女性)と、
地元住民も驚くほどの混雑ぶりだ。
ミナミはここ数年、消費不振の影響で停滞していた。地域住民に親しまれてきた道頓堀の食堂「大阪名物くいだおれ」(下写真)が、2008年4月に閉店。
同年の秋のリーマン・ショック後は、ミナミの不振はいっそう深刻になった。
地域のシンボル的存在であった百貨店「そごう心斎橋本店」も、
09年8月に閉店に追い込まれた。
これらの余波で、地域を訪れる人は激減。地域を代表するアーケード「心斎橋筋商店街」の調査では、商店街の通行量は08年12月から今年1月まで、14カ月連続で前年割れが続いていたという。
ところが、今年3月に潮の流れが一変した。同じく心斎橋筋商店街の調査では、3月の通行量が前年同月比110%、4月も同107%に上昇。5月に入ってもその勢いは衰えず、同116%の高水準となっている。
大型連休中の5月3日は1日の通行量が49万人と、09年の最悪期に比べて1.7倍も増えた。
「ここにきて、ものすごく増えています。若い人から親子連れ、外国人観光客など幅広い層のお客さんで賑わっています」と、心斎橋筋商店街振興組合の前田雅久事務局長は言う。
“呼び水”となったのは、続々と登場した新店舗だ。2月に人気ブランドの複合ショップ「コレクトポイント」が、3月にはスウェーデンのファッションブランド「H&M」の大型店舗が、どちらも心斎橋にオープン。
百貨店や商業施設も「大丸心斎橋店」「高島屋大阪店」「なんばCITY」「なんばパークス」が次々に増改築し、
それぞれが女性から支持の高いブランドショップを拡充した。