肉体を動かせなくても、仮想現実の中で不自由なく生き続ける――。英国のロボット工学者、ピーター・スコット・モーガン博士は「人類初の完全サイボーグ」を目指して自らを改造して機械と融合し、全身の筋肉が動かせなくなる難病を克服しようとしていた。志半ばの今年6月に64歳で死去したが、博士が希望を見いだしていたのは「脳と機械をつなぐ技術」だった。
技術で身体の限界超越
ピーターさんは2017年、徐々に筋肉が動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断された。余命2年と宣告されて思い立ったのは、最新のテクノロジーで身体の限界を超越する道だった。
症状が進行すれば、食事や排せつが難しくなる。ピーターさんはまだ体が動かせる段階で、前もって胃ろうや人工肛門・ぼうこうを付ける手術を一気に受けた。気管を切開し、人工呼吸器も装着。体に多くのチューブがつながった状態でも操作できる電動車椅子を乗りこなした。
さらに、デジタル空間の中にコンピューターグラフィックス(CG)で自分の分身「アバター」を作成した。事前に録音した自分の声をもとにした合成音声と、視線による文字入力システムを組み合わせて、声が出せなくてもあたかも自分が話しているような世界を作り出した。
そうしてサイボーグ化した体を「ピーター2・0」と自称し、半生を記した同名の著書(邦題は「NEO HUMAN ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る未来」)は世界でベストセラーとなった。パートナーのフランシスさんによると、ピーターさんは視線入力システムでこの本を書き上げたという。
https://mainichi.jp/articles/20221101/k00/00m/040/391000c
技術で身体の限界超越
ピーターさんは2017年、徐々に筋肉が動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断された。余命2年と宣告されて思い立ったのは、最新のテクノロジーで身体の限界を超越する道だった。
症状が進行すれば、食事や排せつが難しくなる。ピーターさんはまだ体が動かせる段階で、前もって胃ろうや人工肛門・ぼうこうを付ける手術を一気に受けた。気管を切開し、人工呼吸器も装着。体に多くのチューブがつながった状態でも操作できる電動車椅子を乗りこなした。
さらに、デジタル空間の中にコンピューターグラフィックス(CG)で自分の分身「アバター」を作成した。事前に録音した自分の声をもとにした合成音声と、視線による文字入力システムを組み合わせて、声が出せなくてもあたかも自分が話しているような世界を作り出した。
そうしてサイボーグ化した体を「ピーター2・0」と自称し、半生を記した同名の著書(邦題は「NEO HUMAN ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る未来」)は世界でベストセラーとなった。パートナーのフランシスさんによると、ピーターさんは視線入力システムでこの本を書き上げたという。
https://mainichi.jp/articles/20221101/k00/00m/040/391000c