■香川と岡崎の住む地域はフェイズ2へ逆戻り
非常事態宣言が6月21日に解除されてから2週間ちょっと。外出と移動は自由になり、商業活動も再開され、サッカーも帰ってきて、スペインの空気は一変した。夏も始まりビーチやバルのテラスは人で埋まった。まるでコロナ禍など嘘だったかのような日々が1週間ほど続いた。
が、もちろんそれは幻だった。
6月21日以降、通算72のクラスターが発生し、7月6日現在そのうち47が収束していない。
まず、感染者140人超のガリシア州の計7万人が住む市町村が封鎖された。
次に、感染者数530人超のカタルーニャ州ジェイダ県の計20万人が住む市町村も封鎖。
感染者数400人超の隣接するアラゴン州のサラゴサ県とウェスカ県(香川真司と岡崎慎司が所属するクラブのあるところだ)が移動や活動制限のあるフェイズ2へ逆戻りした。
その他、アパートやホテルなど施設・建物単位、繁華街単位などの封鎖が行われている。
■日本の常識、クラスター追跡が行われなかったわけ
こうした再感染の広がりと対策を見ていてわかることがある。
それはクラスター追跡ができているうちは、施設や建物などの「局地的封鎖」が行われ、追跡不可能になると「県市町村単位の封鎖」になる、ということ。追跡不可能で、もうどこで発生してもおかしくないとなれば、地域丸ごと人を閉じ込めてしまおう、となるわけだ。
実は、非常事態宣言が解除されるまでスペインではクラスター追跡は行われていなかった。
3月上旬に500人台の感染者数が5日間で4000人台になる感染爆発が起き、そのまま非常事態宣言が出されロックダウンされたので、それどころではなかったのだ。
それが今は追跡の成果で、クラスターの大部分は局地的・限定的な封鎖で済んでいる。こうしてクラスターを管理下に置いていくのが、緩和による感染拡大との共存の道、「新しい日常」というものなのだろう。
■新たな感染拡大はどこから来た?
クラスター追跡によって、感染源と経路も初めて明らかになった。
まずは「家族内感染」。
ロックダウン中会えなかった家族に会いに行き、ソーシャルディスタンスとマスク着用が疎かになり感染。数カ月ぶりの再会に抱擁とキス抜きなんてスペイン人の気質ではあり得ないので、これは予想されたことだ。
次に「産業活動での感染」。
農産物の選別、食肉の加工などの現場での感染。工場内での密閉・密接具合や温度、湿度などの環境が感染を拡大させるのではないか、と見られている。
三番目がこれに関連して「農業収穫者内での感染」。
果物と野菜の生産が盛んなスペインでは収穫期に数万人単位の短期労働者を必要としており、この大部分が外国人である。彼らは「必要不可欠な産業の従事者」なので、ロックダウン中も入国でき14日間の検疫も免除されていた。さらに、同じアパートで密になって暮らす劣悪な生活環境もあって感染が拡大した。
こう見ていくと、日本では「夜の街」と盛んに言われているが、感染源にもお国柄が出ることがわかる。
■若者の無法はクラスター化せず
以上の感染拡大要因とは別に、マスメディアが散々叩いているのが、「若者の無責任な行動」。
応援するバスケットチームの優勝、中止された夏祭りの代わりに、ロックダウン時の欲求不満解消、ただ単に集団で酒を飲むのが好きだから……など、若者が集団で騒ぐ理由はいくらでもある。
3つの要因に避けられない部分があるのに対し、マスクもしないソーシャルディスタンスも守らない若者たちの無法は避けられる――が、叩かれている割にはここからクラスターが発生した、というニュースは聞かない。無症状者が多く、数字に上がって来ないせいなのか?
続きはソースで
https://rpr.c.yimg.jp/im_siggD9jauKgNbIa.C4dRcuYGsw---x800-n1/amd/20200708-00187084-roupeiro-000-47-view.jpg
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimurahirotsugu/20200708-00187084/
非常事態宣言が6月21日に解除されてから2週間ちょっと。外出と移動は自由になり、商業活動も再開され、サッカーも帰ってきて、スペインの空気は一変した。夏も始まりビーチやバルのテラスは人で埋まった。まるでコロナ禍など嘘だったかのような日々が1週間ほど続いた。
が、もちろんそれは幻だった。
6月21日以降、通算72のクラスターが発生し、7月6日現在そのうち47が収束していない。
まず、感染者140人超のガリシア州の計7万人が住む市町村が封鎖された。
次に、感染者数530人超のカタルーニャ州ジェイダ県の計20万人が住む市町村も封鎖。
感染者数400人超の隣接するアラゴン州のサラゴサ県とウェスカ県(香川真司と岡崎慎司が所属するクラブのあるところだ)が移動や活動制限のあるフェイズ2へ逆戻りした。
その他、アパートやホテルなど施設・建物単位、繁華街単位などの封鎖が行われている。
■日本の常識、クラスター追跡が行われなかったわけ
こうした再感染の広がりと対策を見ていてわかることがある。
それはクラスター追跡ができているうちは、施設や建物などの「局地的封鎖」が行われ、追跡不可能になると「県市町村単位の封鎖」になる、ということ。追跡不可能で、もうどこで発生してもおかしくないとなれば、地域丸ごと人を閉じ込めてしまおう、となるわけだ。
実は、非常事態宣言が解除されるまでスペインではクラスター追跡は行われていなかった。
3月上旬に500人台の感染者数が5日間で4000人台になる感染爆発が起き、そのまま非常事態宣言が出されロックダウンされたので、それどころではなかったのだ。
それが今は追跡の成果で、クラスターの大部分は局地的・限定的な封鎖で済んでいる。こうしてクラスターを管理下に置いていくのが、緩和による感染拡大との共存の道、「新しい日常」というものなのだろう。
■新たな感染拡大はどこから来た?
クラスター追跡によって、感染源と経路も初めて明らかになった。
まずは「家族内感染」。
ロックダウン中会えなかった家族に会いに行き、ソーシャルディスタンスとマスク着用が疎かになり感染。数カ月ぶりの再会に抱擁とキス抜きなんてスペイン人の気質ではあり得ないので、これは予想されたことだ。
次に「産業活動での感染」。
農産物の選別、食肉の加工などの現場での感染。工場内での密閉・密接具合や温度、湿度などの環境が感染を拡大させるのではないか、と見られている。
三番目がこれに関連して「農業収穫者内での感染」。
果物と野菜の生産が盛んなスペインでは収穫期に数万人単位の短期労働者を必要としており、この大部分が外国人である。彼らは「必要不可欠な産業の従事者」なので、ロックダウン中も入国でき14日間の検疫も免除されていた。さらに、同じアパートで密になって暮らす劣悪な生活環境もあって感染が拡大した。
こう見ていくと、日本では「夜の街」と盛んに言われているが、感染源にもお国柄が出ることがわかる。
■若者の無法はクラスター化せず
以上の感染拡大要因とは別に、マスメディアが散々叩いているのが、「若者の無責任な行動」。
応援するバスケットチームの優勝、中止された夏祭りの代わりに、ロックダウン時の欲求不満解消、ただ単に集団で酒を飲むのが好きだから……など、若者が集団で騒ぐ理由はいくらでもある。
3つの要因に避けられない部分があるのに対し、マスクもしないソーシャルディスタンスも守らない若者たちの無法は避けられる――が、叩かれている割にはここからクラスターが発生した、というニュースは聞かない。無症状者が多く、数字に上がって来ないせいなのか?
続きはソースで
https://rpr.c.yimg.jp/im_siggD9jauKgNbIa.C4dRcuYGsw---x800-n1/amd/20200708-00187084-roupeiro-000-47-view.jpg
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimurahirotsugu/20200708-00187084/