■シリアから早期撤退したいというトランプ発言を聞いて大量殺人の欲求に火がついたのか?
アメリカは、化学兵器は容認できないという言葉を実行に移すべきだ
ダマスカス近郊で、アサド政権が一般市民を標的に、猛毒を使った化学兵器による攻撃を行った疑いがある。
もしもこれが真実ならば、アサド政権という「ならず者国家によるいつもの大量殺人」では済まない。
アメリカにとっては大いなる侮辱であり、ドナルド・トランプ政権の信頼性に対する重大な挑戦だ。
シリアのバシャル・アサド大統領は、
シリアからの早期撤退を望むという先日のトランプの発言を聞いてこんな賭けに出たのかもしれない。
シリアから早く軍を撤退させたいと考えている人間なら、化学兵器を使用しても強力な対抗策は取らないだろうと、
アサドは考えたのだろう。これまで繰り返し塩素ガスを使用しても見過ごされてきたことを考えれば、尚更だ。
アサドにとってこれは、殺人依存症に浸る絶好のチャンスだったのかもしれない。
標的が無防備であればあるほど、恐怖を引き起こす化学物質を使いたいという彼の欲求は高まる。
■効かなかった抑止力
1年前、アメリカはアサド政権が北西部のハーンシャイフーンの市民に対して猛毒の神経剤サリンを使用したことへの対抗措置として、
シリアの軍事施設にミサイル攻撃を行った。
シリアは2013年8月にもサリンを使用している。当時のバラク・オバマ米大統領は、
化学兵器の使用を「レッドライン(越えてはならない一線)を越える行為」だとしたものの、軍事介入は見送った。
それでもこの時は、ロシアが仲介する形でシリアは化学兵器の廃棄に合意。合意に沿ってシリアは大量の化学物質を廃棄し、
サリンもそこに含まれているはずだったが、実際は廃棄などしていなかったようだ。
そして2017年4月。シリアが再びサリンを使用したと判断したアメリカは、
対抗措置として同国の(サリンを積んだ爆撃機が発射された)シャイラット空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。
これでアサドに、サリンの使用を控えるべきであることを納得させることができたように(少なくとも最近までは)見えていた。
だがアメリカが「化学兵器を使用した戦争を抑止するため」として攻撃を行った後も、
アサドは繰り返し一般市民に対して塩素ガスを使用し挑戦的な姿勢を示してきた。
塩素ガスは廃棄対象に含まれなかった大きな抜け穴だ。
H.R.マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官(当時)も2018年2月にドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議、
抑止が機能していないことを認めた。
トランプはすぐにでも、シリアから米軍を撤退させたいと考えているのかもしれない。
だが前任者のオバマ同様、トランプもまた化学兵器使用という「レッドライン」を引いている。
オバマが身をもって学んだことを、トランプもおそらく知っているのだろう。
シリアで起こったことは、いずれシリア国内だけでは済まなくなると。
化学兵器使用の報道が正しければ、アサドはトランプを品定めした上で、
時期や場所、相手に関係なく、何でも好きなことをしても許されると判断したことになる。
そして米国防総省も、アサドを「けだもの」と呼び「大きな代償」を誓ったトランプの言葉を受けて、
対抗措置を準備していることは間違いない。
アメリカは、言ったことは必ず実行する。その点にだけは、疑いが残るようなことがあってはならない。
関連ソース画像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/04/webw180410-us-thumb-720xauto.jpg
関連スレ
【国連安保理】シリア化学兵器で調査機関設置の決議案、ロシアが拒否権[04/11]
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/news5plus/1523418350/
【アメリカ】〈シリア内戦化学兵器使用〉対シリア合同軍事行動の可能性か 米英仏首脳が連携強化[04/11]
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/news5plus/1523416921/
ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9926.php
アメリカは、化学兵器は容認できないという言葉を実行に移すべきだ
ダマスカス近郊で、アサド政権が一般市民を標的に、猛毒を使った化学兵器による攻撃を行った疑いがある。
もしもこれが真実ならば、アサド政権という「ならず者国家によるいつもの大量殺人」では済まない。
アメリカにとっては大いなる侮辱であり、ドナルド・トランプ政権の信頼性に対する重大な挑戦だ。
シリアのバシャル・アサド大統領は、
シリアからの早期撤退を望むという先日のトランプの発言を聞いてこんな賭けに出たのかもしれない。
シリアから早く軍を撤退させたいと考えている人間なら、化学兵器を使用しても強力な対抗策は取らないだろうと、
アサドは考えたのだろう。これまで繰り返し塩素ガスを使用しても見過ごされてきたことを考えれば、尚更だ。
アサドにとってこれは、殺人依存症に浸る絶好のチャンスだったのかもしれない。
標的が無防備であればあるほど、恐怖を引き起こす化学物質を使いたいという彼の欲求は高まる。
■効かなかった抑止力
1年前、アメリカはアサド政権が北西部のハーンシャイフーンの市民に対して猛毒の神経剤サリンを使用したことへの対抗措置として、
シリアの軍事施設にミサイル攻撃を行った。
シリアは2013年8月にもサリンを使用している。当時のバラク・オバマ米大統領は、
化学兵器の使用を「レッドライン(越えてはならない一線)を越える行為」だとしたものの、軍事介入は見送った。
それでもこの時は、ロシアが仲介する形でシリアは化学兵器の廃棄に合意。合意に沿ってシリアは大量の化学物質を廃棄し、
サリンもそこに含まれているはずだったが、実際は廃棄などしていなかったようだ。
そして2017年4月。シリアが再びサリンを使用したと判断したアメリカは、
対抗措置として同国の(サリンを積んだ爆撃機が発射された)シャイラット空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。
これでアサドに、サリンの使用を控えるべきであることを納得させることができたように(少なくとも最近までは)見えていた。
だがアメリカが「化学兵器を使用した戦争を抑止するため」として攻撃を行った後も、
アサドは繰り返し一般市民に対して塩素ガスを使用し挑戦的な姿勢を示してきた。
塩素ガスは廃棄対象に含まれなかった大きな抜け穴だ。
H.R.マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官(当時)も2018年2月にドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議、
抑止が機能していないことを認めた。
トランプはすぐにでも、シリアから米軍を撤退させたいと考えているのかもしれない。
だが前任者のオバマ同様、トランプもまた化学兵器使用という「レッドライン」を引いている。
オバマが身をもって学んだことを、トランプもおそらく知っているのだろう。
シリアで起こったことは、いずれシリア国内だけでは済まなくなると。
化学兵器使用の報道が正しければ、アサドはトランプを品定めした上で、
時期や場所、相手に関係なく、何でも好きなことをしても許されると判断したことになる。
そして米国防総省も、アサドを「けだもの」と呼び「大きな代償」を誓ったトランプの言葉を受けて、
対抗措置を準備していることは間違いない。
アメリカは、言ったことは必ず実行する。その点にだけは、疑いが残るようなことがあってはならない。
関連ソース画像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/04/webw180410-us-thumb-720xauto.jpg
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ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9926.php