藤井:なるほど、今の官僚や政治家たちが責任を果たすことができず、無責任であり続けている根本的な原因は、国家や国益という概念そのものが彼らにとってチンプンカンプンなものになっているからだ、っていうことですね──それは確かにそうですね。今のいわゆる「エリートたち」の大半にとって、国益の話や国益のための責任の話はもう完全に馬の耳に対する念仏になってます。

前田:だから、例えば中韓が急速に発展してきた時に、日本国内において妙に自分を褒めるようになったりするんでしょうね。彼らは口々に「日本はこんなに素晴らしいんだ」「中韓なんてたいしたことないんだ」「でも日本は昔から世界から絶賛されている……」なんてことばっかり言っていた。
でも僕はああいうのを聞きながら、これこそ日本の衰弱の始まりだと思いましたね。「日本スゴイ」というのは衰退する日本の断末魔の絶叫ですよ。

藤井:おっしゃる通りですね。ホントに日本国家の国益を考えれば、そんなこと言って日本人の自意識を小手先で満たすヒマがあったら、どうやれば中韓に追い抜かれないようにできるのか、対抗できるのかを考え、実践すべきですからね。

前田:そうです。例えば昭和三十年代、四十年代の日本がもっと元気な頃に社会を中心で動かしていた人たちが今も同じように働いているとすれば、中韓が発展してきたならば「モーレツ社員」として頑張って盛り返していったと思うんですよね。
 ところが今の日本人は、逆転され始めた時には、中国は本当はダメだとディスり始め、何の努力もしなかった。そして今、はたと気付けば圧倒的な格差が付いていたので、急に「もうしょうがないよ」と諦めたことばかり口にする。

藤井:もう滅茶苦茶ですよね(笑)。

前田:今やもう、一部上場企業、東証一部の多くが外資になってしまっている。普通はそういう国の基幹産業というのは政府が守ったっていいはずなのに、政府はそんなことを何もやらない。それで今回は台湾のTSMCという半導体企業に国の税金で五〇〇〇億も注ぎ込んで工場を作らせている。
TSMCはそのカネを使って日本の技術者を雇って研究させて、その成果物は全てTSMCのものになる。そんなことをやるんなら、その五〇〇〇億円を日本の半導体産業に注ぎ込んで援助した方がずっといい。
 結局、今の政治家というのはロビイストなんですよ。