湘南アイパーク 未病のビジネス化でコンソーシアム「湘南会議」設立 RIZAPが参画

武田薬品の湘南研究所を開放して設立した、湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、湘南アイパーク)は10月10日、未病のビジネス化を目指した民間企業のコンソーシアム「湘南会議」を設立したと発表した。
湘南アイパークのファシリテーションの下、製薬企業やIT企業、通信・データ企業、ベンチャーなど異業種が結集するプラットフォームを構築。製品やサービスを一気通貫で実用化まで推し進める考え。
神奈川県、鎌倉市、藤沢市の支援を受けているのも特徴で、特区の活用などにより、実用化へのさらなる加速も見込む。
フィットネスジムなどを展開するRIZAPグループの参画も同日発表された。生活習慣病や認知症を皮切りに新たなソリューション開発、そして早期のビジネス化を目指す。

◎オープンイノベーションの場に

湘南会議は、湘南アイパークのファシリテーションの下で、通信・データ、IT、ベンチャー、製薬、病院、医療機器(デバイス)、食品飲料、サービスなど多産業が一同に集うプラットフォームを構築。
月に1度、各企業の持つデータやネットワークを共有することで、可能なビジネスモデルを検討する。いわば、異業種がコラボする、オープンイノベーション型の取り組みだ。
湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、「湘南アイパークは、オープンイノベーションの場でありたい。ファシリテーションを行うことで、従来では結び付かないつながりを生み、新たなビジネスのきっかけを生んでいきたい」と語る。

テーマに据える“未病”とは、健康と病気を明確に区分できると捉えるのではなく、連続的な変化として捉える概念。神奈川県では黒岩知事のもと、「未病の改善」を県の重点施策に掲げる。
急速に少子高齢化が進む神奈川県にとって健康寿命の延伸は喫緊の課題。課題克服に向け、健康寿命の延伸と共に成長産業となる可能性のある未病産業の創出に力を入れる。600社超が集う未病産業研究会も活動しており、異業種のコラボなどで新たな産業も生まれている。
今回スタートする湘南会議は、この未病産業研究会のスピンアウトとして位置づけられている。なお、未病は湘南アイパークの中期戦略での注力領域のひとつでもある。

◎実用化に向けスピード加速「1年以内にビジネス化も」

民間企業の最大の長所ともいえる“スピード”を活かすために、湘南会議では最大5〜6社と少数で構築する。約半年間で社会実験のプロトコルを作成し、パイロットスタディを行う。その後、ビジネスのサステナビリティの観点からエビデンスを創出する。
その法的なフレームワークを自治体の協力を得ながら行っていく考えだ。藤本氏は、「パイロット試験後数か月を待たずにビジネスモデルとしてくみ上げたい。少なくとも全部で1年以内にビジネス化に向けて結論を出したい」と意気込む。
生活習慣病や認知症など、テーマごとに最適なコンソーシアムを構築する必要性も示した。課題解決に向けた製品やサービスを次々と世に生み出す、新たなエコシステムを構築したい考えだ。
一方で未病という概念がまだ十分定着していないなかで、「ビジネスを継続するためには、収益を上げるモデルを作ることがキーだ」とも述べた。