ウクライナ危機に端を発するヨーロッパの天然ガス不足により、確かにエネルギー価格は上昇しました。
しかし、東京ガスはガス産出国との長期契約が中心で、スポット価格には影響を受けづらい体制を整えています。
長期契約は原油価格に連動するのが普通ですが、東京ガスはリスク分散のために米国天然ガス価格や石炭価格を指標に加えることにより、調達価格の低減も図っていました。

また、オーストラリアやアメリカ、マレーシアなど、長期契約を結ぶ調達先の分散化を進めていました。東京ガスは2022年8月にサハリン2と長期契約を結んだと明らかにしましたが、仮にロシアからの供給が途絶えたとしても供給不安に陥る可能性は極めて低いと言えます。ロシアへの依存度が高かったドイツとは異なります。

原料価格の高騰や、供給危機に耐えうる仕組みを構築したのは東京ガスの企業努力であることは間違いありません。
しかし、ガソリン代や電気代、食料品など、あらゆる価格が高騰する中で、スポットの原料価格高騰の影響を受けづらい東京ガスが値上げを行い、過去最高益を達成したというのは少なからず違和感を覚えます。