私たちが考慮したのは、
放射性廃棄物に関連した多くの未解決な問題の扱いが、
将来世代に残されているという問題です。
そして、将来世代に未解決の問題を残しながら、
エネルギー多消費の生活スタイルを今日楽しむのが正しいのかどうかという疑問です。

倫理委員会は、気候変動という別のリスクも考えました。
一つのリスクと他のリスクを秤にかけることは答えにならないという点で一致がありました。
したがって、原子力エネルギーを止めることは、
化石燃料をより多く使うことになってはならないということです。

私たちが検討したクリーン・エネルギーの道は、
インフラについて新たなコストも要する展望を提起していますが、
委員会がより関心を持ったのは、
行動しないことで生じるコストと、その結果として将来の世代に残されるリスクです。
再生可能エネルギーの今日での高コストは、
いわば子どもの教育への投資のようなものです。
それは将来への投資なのです。

(p.11 日本の読者のみなさんへのメッセージ ミランダ・シュラーズ)
『ドイツ脱原発倫理委員会報告』(2013/7 大月書店)