普通、企業や個人で投資判断するとき、
10〜20年のスパンなら、現在価値換算は有効なのだろう。

100万円の投資に失敗しても、帳簿上の100万円を損切りする、
あるいは、作った生産設備をチャチャっと取り壊して更地にして、
土地は返却/売却処分すればいいのだから。

いろんな電源のコスト(円/kWh)を比較したいがため、
本来は時間経過とともに変化する発電単価を固定して、
その代わり、均等化と称して、
支出(分子)と発電電力量(分母)を経過時期に応じて割り引いて評価するLCOEも、
まあいい。
火力発電でも、まぁ、概ね妥当なんだろう。

が、原発はそうはいかない。
「失敗」すると、運開後40年にして事故った福一のように、
そもそも保険付保できないような損害を他者に与え、
廃炉に数十・百・万・・・?倍の費用がかさみ、
「燃えかす」は残ったまま。

ましてや、上手くいっても完了?までに396年間かかるのに、
金利・物価変動や倒産、貸し倒れ、瑕疵、不作為、
技術開発の失敗、技術動向の変化といったリスク概念だけでは、
とても把握しきれない原発という事業を
遠い将来の支出ほど安く評価する、現在価値換算で評価するのは、
なじまない。

むしろ、単なる数字上のお遊びにしか見えない。

と、IEAとOECDに言いたいんだけど。