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(続き)
  その後、昨年、韓国の大法院は日本企業に対し、旧朝鮮半島出身労働者への慰謝料の
支払いを命じる一連の判決を下した。これらの判決は明らかに1965年の協定に違反するものであった。
しかしながら、韓国政府はこのような状況を是正するいかなる具体的な措置も講じてきていない。

  こうして、50年以上たって、韓国は両国政府間によって合意された約束を一方的に覆したのである。
これがわれわれが直面する問題の本質である。もし国際的合意が一国の国内事情によって
破られることが可能となれば、われわれは安定した国際関係を維持することは決してできないだろう。
  私は、韓国政府がこの問題について、国際法および国家間の関係の観点から対応し、
国際社会の責任ある一員として具体的な措置を講ずることを強く望む。
  上記大法院の判決後、日本は累次にわたり韓国政府との間での外交上の協議を求め、
1965年の協定に定められた仲裁の付託を通告した。しかしながら、韓国政府は同意しなかった。

  同じく重要な点として、私は、この問題が、兵器関連品目の不拡散を保障するために必要であった、
最近の日本による輸出管理の運用の見直しとは全く無関係であることを再度強調したい。
この決定は、安全保障の観点からのみ行われたものである。

  今回の見直し対象となっている物資・技術は、軍用品への転用が可能であるため機微なものである。
各国当局はこのような軍民両用の物資・技術の輸出を適切に管理する責任がある。
  2004年以来、日本は韓国に対するこれらの品目の輸出につき、他のアジア諸国を含む
大半の国および地域に適用するルールと比べて、簡素化した手続きを適用してきた。
この手続きは、継続的な対話を通じて醸成される両国政府間の十分な信頼を前提としたものであった。
  過去3年間、日本側からの累次の申し入れにもかかわらず、そのような対話は開催されなかった。
その間、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した。このため、日本は
韓国に対する輸出に適用していた簡素化された手続きをこれ以上維持できないと判断した。

  この決定は、いかなる意味においても、
旧朝鮮半島出身労働者問題に関する「報復」でも「対抗措置」でもない。
このように関連付けることは、二つの全く異なる問題の根本的原因を曖昧にするだけである。
  日本は、国際法にのっとって、国際社会の責任ある一員として行動してきている。われわれは、
引き続き前向きな2国間関係を構築していくためにも、韓国も同様に行動することを望む。(続く)