「敷居が高い」と「敷居が低い」|NHK放送文化研究所
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20181201_4.html

Q.「伝統芸能は難しくて敷居が高い」「伝統芸能の敷居を低くして見に行きやすくする」などの表現を使ったところ、おかしいと言われた。どのような問題があるのだろうか。

A.「敷居が高い」は、現代では「気軽には行きにくい」などの意味で使われることが多くなっていますが、
伝統的には「不義理・不面目なことなどがあって、その人の家に行きにくい」(『大辞林第3版』)という意味で使われる語です。
放送で使う場合には、伝統的な意味と新しい意味とがある語であることを認識したうえで、使う場面を考える必要があります。
また、「伝統芸能は、難しそうで見に行くのに勇気がいる」などと言えば「敷居が高い」よりも意味がはっきりします。
一方、「敷居が低い」は新たに使われるようになった語と言えそうです。「伝統芸能の垣根を取り払って見に行きやすくする」などと言いかえるなどの工夫をすると、より適切に、多くの人に伝わりやすくなります。

<解説>
「敷居が高い」については、 文化庁が「平成20年度国語に関する世論調査」で調査をしています。
その結果、「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という伝統的な意味で使うと答えた人は42%、「高級すぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という意味で使うと答えた人は46%、両方の意味で使うと答えた人は10%という結果でした。
年代差が大きく、16歳〜19歳、20歳代、30歳代では、7割以上が新しい意味で答えている一方で、50歳代、60歳以上では、5割以上が伝統的な意味で答えています。
以下略