遠慮がちに下から顔を覗いて手持ち無沙汰に髪をいじくりながら恐る恐る聞いてみるけど、牧は肩を落として床を呆然と見下ろしたままで、俺が何か言う度にいちいちまたあのクソデカ溜息を間に挟んでくる。
そして、暫くの沈黙を経て右手でズボンのポケットの中からスマホを取り出し、何回かタップしてから黙って俺に差し出した。
戸惑いながら受け取ると、そこには留守電の再生待機画面があった。時刻はゆうべの0:42。右上に小さく表示されてる現在時刻は6:29。
意図が上手く掴めなくてもう一度牧の顔を窺うけど、牧は眉間に皺を寄せてただただ俺を睨むばかりだ。
とりあえず右向きの正三角形のボタンをタップしてスマホを耳にあてる。ざざ、と何か擦れるようなノイズが数秒続いて、次に今にも消え入りそうな男の声が聞こえてきた。
『ま......っきぃ...おれ、も、だめかも.....さいごにまきの、っからあげ...くいたか...った、なぁ...』
ざざざっ、ゴッ、ブチッ。
そこで音は途切れた。そして代わりに、ハァァ〜〜〜〜〜〜〜〜っていう既に何度目かもわからない牧のクソデカ溜息が廊下に響き渡る。見ると片手を額に当てて、まるで全部を察したかのようなウンザリした顔で頭を抱えている。
そんな様子を見て、いくらバカな俺でもこの留守電を聞いた牧が俺を心配して文字通りすっ飛んで来たということは理解できた。ロクな荷造りもせずトートバッグ一つで。
ただ恐ろしいことに、“そこ”に至るまでの過程だけが全ッッッ然思い出せないのだ。
ぶわっと変な汗が吹き出てくる中、まだよく働かない寝起きの頭を必死にフル回転させて状況を整理しようとする。
リアルJCJKでもキャス主と寿司屋の娘じゃ天と地だからな
設定に独自性があったら良いと思ってる辺り個人勢ってアホしかおらんよな
結局はガワが美形かどうかとトークやぞ
こいつロクに活動してないのにVT面して色々言ってたやつだよな
0965名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/07(日) 05:29:24.77
こいつappleの社員だぞ
良くも悪くも活性剤になったな剣持
数字の力は偉大だわ
アンチ涙目やん
えっと、えーーーっと確か、昨日は上海営業所のメンバーとプロジェクトの進捗報告会後にそのまま飯行こうってなって...こっちで出来た馴染みの店に5,6人で寄ってワイワイ盛り上がって。
......なんかめっちゃ飲んでめっちゃ酔っ払ってた、かもしれない。いや、そんな気がする。いや酔ってた、これ以上ないくらいに。だんだん思い出してきたぞ。
「ま、牧ごめん...俺昨日すげー酔っちゃって」
「でしょうね」
とにかく謝らなきゃ。そう思って口を開く。牧は今にもまたクソデカ溜息が漏れ出てきそうなげっそりした表情を隠しもせず短く相槌を打って、すくっと立ち上がったかと思えば俺が寝落ち直前に脱ぎ捨てた
と思われる片っぽだけの靴下を拾い上げて洗面所の方へ歩き出した。俺は足元に転がされてたカバンを引っ掴んで慌てて後を追う。
「きっ昨日は、さ、こっちの人達と飲みに行っ...て、明日休みだしいっかーとか思っちゃってセーブ出来なくて、...」
ほとんど無表情で山盛りの洗濯カゴの中身を掴み上げては洗濯機にダンクする作業を繰り返す牧を、体を傾けて少し離れた場所から覗き込む。怒ってる、よな。当たり前だよな。
ピッピッピッピッ。ピッ。
牧からの返事はないまま、洗濯機のボタンを操作する音だけが響く。
「そ、そんでさ、帰り道にすげー牧の声が聞きたくなって...電話したけど出なくて、や、夜中だから当たり前なんだけど、繋がんなくて....んで家着いたら真っ暗で...ってか一人暮らしだから当たり前
なんだけどっ、真っ暗で.....なんかすげーさみしくて、死んじゃうって思って...それで俺」
0980名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/07(日) 05:30:00.87
司「宇宙飛行士にしか見えねぇ、こいつの世界観よくわからん」
ガタン。いたたまれない空気の中で洗濯機が一度大きく揺れて、次いでジャージャーと中に水が注がれる音が鳴り出す。
牧は、俯いて洗面所の入口で徐々に口篭る俺に無言で近付いてきたかと思えば、一段高い場所からそのまま俺の肩に手を添えながら額にキスをして極々小さな溜息をついた。
ぶん殴られると勘違いして咄嗟に硬直した俺は予想外の出来事に、へ、と拍子抜けした声が漏れる。
「ま...牧?」
「もういいです」
キスされたところを押さえて上目遣いに窺うと、牧はくしゃくしゃになった俺のワイシャツのボタンに手を掛けながら苦々しく微笑んで言った。
「夜中たまたま起きて留守電聞いて...折り返しても春田さん出てくれないし、何かあったのかもって血の気が引いて慌てて飛んできたんですけど。無事でよかった」
「牧ぃ...っ」
諦めたような弱々しい笑顔で、ぷちぷちと俺のボタンを外していく。これも洗うんで脱いで下さい、なんていつもの声で促しながら。
ああ牧だ。牧がいる。俺、怒鳴られても蹴られても仕方ないことしたのに、めっちゃ迷惑かけたのに、心配かけたのに。ごめん、ごめんな。そう思ったら居ても立ってもいられなくなって、俺より少し小柄なその身体をぎゅうっと力任せに腕の中に閉じ込めた。
「牧ぃぃ〜ごめんなぁぁ〜〜〜」
「いってえマジ...ゴリラじゃないんですから。ほら」
「まあぁぁぁきいぃぃぃぃぃ!」
天皇はにじさんじ内での相対的評価が高いだけで面白くはないかな
四天王の足元にも及ばない下界でイキってるだけ
0995名無しさん@お腹いっぱい。2018/10/07(日) 05:30:27.18
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