【11月1日 AFP】
太陽系を含む天の川銀河(銀河系、Milky Way)の特徴的なハロー(銀河系本体を球殻状に取り巻く大構造)は、約100億年前に起きた別の銀河との衝突の際に生じた残骸だったとの研究結果が10月31日、発表された。研究チームは、この発見に衝撃を受けているという。
英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文によると、衝突した相手の銀河は、天の川銀河の約4分の1のサイズで「ガイア・エンケラドス(Gaia-Enceladus)」と命名された。ゆっくりとしたスピードで起きた宇宙衝突は、太陽6億個分に相当するハローの原料物質を供給したほか、銀河系の特徴的な円盤部を膨張させたという。ガイア・エンケラドスは、ギリシャ神話の天空神と地母神との間に生まれた巨人にちなんだ名前だ。
論文の筆頭執筆者で、オランダ・フローニンゲン大学(University of Groningen)カプタイン天文学研究所(Kapteyn Astronomical Institute)の天文学者アミナ・ヘルミ(Amina Helmi)氏は、AFPの取材に「今回の研究では、銀河系の形成を基本的に解明した」と語った。
ヘルミ氏は、「衝突は、銀河系ハローと現在呼ばれている構造をもたらした。非常に大規模な事象だったために、その当時すでに存在していた銀河円盤の膨張を引き起こした」と述べ、「ハローにある恒星の大半が共通の起源を持つことは、予想外の結果だった」と続けた。
大型の銀河は、より小さな銀河を吸収することで大型化する。
銀河系が大きくなったのは、複数の小型星団を取り込んだからなのか、それとも単一の大きな銀河と融合したからなのかをめぐっては、天文学者らの間で長年論争が続けられてきた。
これまでは、どちらの説も憶測による推論によって主に支えられている状況だったが、宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」計画で得られた膨大な観測データが4月に公開されたことで、この状況は一変した。
欧州宇宙機関(ESA)が2013年に軌道に投入した宇宙望遠鏡ガイアにより、恒星17億個の革新的な立体(3D)地図が作製された。これは銀河系にある星の総数の1%に相当する。
ガイアの反復観測により、恒星までの正確な距離と、それぞれの恒星が宇宙空間を移動している速度の算出が可能になった。
■銀河衝突を巻き戻す
銀河系ハローに残る銀河合体の痕跡を探していた研究チームは、ハローの星々の大半が共通の特徴を持つ近い仲間であるという驚くべき結果を得た。
「化学的特徴が銀河系の『在来種』の星々とは明らかに異なっていた」とヘルミ氏は説明する。
「ハローの星々の多くが同質のグループに属している。これは共通起源を持つことを示している」
また、光スペクトル全域の測定結果を組み入れることにより、研究チームは銀河系に侵入する恒星の運動の正確な経時的変化を立体的に再現することにも成功した。
カナダ・ビクトリア大学(University of Victoria)の天文学者キム・ベン(Kim Venn)氏は、今回の研究結果に関するコメントで「これらの研究結果をさかのぼることで、天文学者らは銀河系がどのように形成されたか、そしてどのように進化してきたかについて調べることが可能になる」と指摘した。
ヘルミ氏と研究チームは今回、銀河合体が100億年前に起きたとする推算結果を得た。これは宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)が発生してから約38億年後のことだ。(c)AFP
http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/810x540/img_67c55597d9dfdbca52d16890fd92ca3495631.jpg
http://www.afpbb.com/articles/-/3195522
太陽系を含む天の川銀河(銀河系、Milky Way)の特徴的なハロー(銀河系本体を球殻状に取り巻く大構造)は、約100億年前に起きた別の銀河との衝突の際に生じた残骸だったとの研究結果が10月31日、発表された。研究チームは、この発見に衝撃を受けているという。
英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文によると、衝突した相手の銀河は、天の川銀河の約4分の1のサイズで「ガイア・エンケラドス(Gaia-Enceladus)」と命名された。ゆっくりとしたスピードで起きた宇宙衝突は、太陽6億個分に相当するハローの原料物質を供給したほか、銀河系の特徴的な円盤部を膨張させたという。ガイア・エンケラドスは、ギリシャ神話の天空神と地母神との間に生まれた巨人にちなんだ名前だ。
論文の筆頭執筆者で、オランダ・フローニンゲン大学(University of Groningen)カプタイン天文学研究所(Kapteyn Astronomical Institute)の天文学者アミナ・ヘルミ(Amina Helmi)氏は、AFPの取材に「今回の研究では、銀河系の形成を基本的に解明した」と語った。
ヘルミ氏は、「衝突は、銀河系ハローと現在呼ばれている構造をもたらした。非常に大規模な事象だったために、その当時すでに存在していた銀河円盤の膨張を引き起こした」と述べ、「ハローにある恒星の大半が共通の起源を持つことは、予想外の結果だった」と続けた。
大型の銀河は、より小さな銀河を吸収することで大型化する。
銀河系が大きくなったのは、複数の小型星団を取り込んだからなのか、それとも単一の大きな銀河と融合したからなのかをめぐっては、天文学者らの間で長年論争が続けられてきた。
これまでは、どちらの説も憶測による推論によって主に支えられている状況だったが、宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」計画で得られた膨大な観測データが4月に公開されたことで、この状況は一変した。
欧州宇宙機関(ESA)が2013年に軌道に投入した宇宙望遠鏡ガイアにより、恒星17億個の革新的な立体(3D)地図が作製された。これは銀河系にある星の総数の1%に相当する。
ガイアの反復観測により、恒星までの正確な距離と、それぞれの恒星が宇宙空間を移動している速度の算出が可能になった。
■銀河衝突を巻き戻す
銀河系ハローに残る銀河合体の痕跡を探していた研究チームは、ハローの星々の大半が共通の特徴を持つ近い仲間であるという驚くべき結果を得た。
「化学的特徴が銀河系の『在来種』の星々とは明らかに異なっていた」とヘルミ氏は説明する。
「ハローの星々の多くが同質のグループに属している。これは共通起源を持つことを示している」
また、光スペクトル全域の測定結果を組み入れることにより、研究チームは銀河系に侵入する恒星の運動の正確な経時的変化を立体的に再現することにも成功した。
カナダ・ビクトリア大学(University of Victoria)の天文学者キム・ベン(Kim Venn)氏は、今回の研究結果に関するコメントで「これらの研究結果をさかのぼることで、天文学者らは銀河系がどのように形成されたか、そしてどのように進化してきたかについて調べることが可能になる」と指摘した。
ヘルミ氏と研究チームは今回、銀河合体が100億年前に起きたとする推算結果を得た。これは宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)が発生してから約38億年後のことだ。(c)AFP
http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/810x540/img_67c55597d9dfdbca52d16890fd92ca3495631.jpg
http://www.afpbb.com/articles/-/3195522