2019年10月の消費税率10%への引き上げ方針が表明された。飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率が導入されることから、兵庫県内の企業などは従業員向けの研修やシステム改修を加速。駆け込み需要を着実に取り込むための工夫にも知恵を絞る。(三島大一郎、中務庸子、塩津あかね)

 生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)は先月、軽減税率制度などをテーマにした従業員向けの説明会を開いた。部門の代表者が対象で、消費税増税に伴う業務の変更点などを洗い出している。担当者は「システム改修への準備を進める。対応を急がないと」とした。

 三宮センター街2丁目商店街振興組合なども同月、勉強会を開いた。同組合の久利計一理事長(71)は「税率適用を間違うわけにはいかない。定期的な会合で理解を深めたい」と気を引き締める。

 9月中旬に神戸市であったみなと銀行の増税対策セミナーには、定員を大幅に上回る180人が駆けつけた。軽減税率制度の概要のほか、帳簿や請求書の記載方法の説明があり、参加者は熱心に耳を傾けた。

 購入・消費形態によって適用税率が異なる食品の関連企業は、頭を悩ませる。

 神戸市のパン製造販売会社は、路面店の約3割にイートインコーナーを備え、持ち帰りと店内飲食する商品を分けて精算しなければならず、既存レジの交換や改修が迫られる。ただ、商業施設などに出す店では、出店先が定める仕様のレジを使っており、「(新しいレジの指示を)待つしかない」(担当者)という。

 調味料のみりんは成分によって税率が変わる。キング醸造(兵庫県稲美町)によると、アルコール分を含む「本みりん」は標準税率が、「みりん風調味料」は軽減税率がそれぞれ適用されるという。
現状ではラベル表示で混同を避けることを業界団体が自主基準で定めるが、同社は「具体的にどう区別するのか、これから業界で検討しなければならない」とした。

 駆け込み需要を見込み、体制強化の検討を始める企業もある。分譲マンションなどは来年3月末までに契約すれば、引き渡しが10月1日以降でも8%が適用される経過措置がある。和田興産(神戸市中央区)の幹部は「需要の増加が見込める来年3月までに供給を増やすことを考えなければ」と話している。

https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201810/sp/0011734593.shtml