抜井規泰、有吉由香 西村奈緒美2018年10月12日5時10分

 東京都が約5700億円かけて整備した中央卸売市場「豊洲市場」(東京都江東区)が11日、開業した。「日本の台所」と称された築地市場(中央区)を引き継ぐ。周辺は初日から渋滞が発生し、使い勝手にも懸念が出た。
 この日は早朝から、新市場で初めてマグロやマツタケ、メロンなどのセリがあり、業者らの活気にあふれた。一方で、周辺の道路は未明から渋滞した。
 水産卸売場棟の駐車場に向かうスロープは、トラックの長い列ができた。2時間ぐらい並んでも、駐車場までたどり着かないトラックも。水産物の配送業者は「これはひどすぎる」。車で買い出しにきたものの、市場に入るのを諦めて路上駐車をする人もいた。都によると、荷物を下ろす場所を間違えるトラックが相次ぎ、混乱したことなどが原因とみられるという。
 豊洲の敷地面積は、築地と比べて1・7倍に拡大。施設は外気が入りにくい「閉鎖型」で、温度や衛生管理に配慮した。加工施設も備えている。都は、市場の取扱量を5年間で1・5倍にする目標を掲げている。
ただ、築地よりは都心から遠い。水産や青果の各棟は道路を隔てて建てられており、施設間の移動にも時間がかかる。客に敬遠される施設では「築地ブランド」の継承が難しくなる。
 都内のすし店「大塚高勢」の外山義晴さん(57)は渋滞を避け、遠回りしながら市場へ。開場前に市場を訪れ、なじみの店をどう回るか考えていたが、慣れない建物で出入りの人も多く、
「自分がどこにいるのか分からなくなる」と戸惑った。水産仲卸売場棟から青果棟を回ったが、築地の頃より1時間以上、店に戻るのが遅れた。今週のランチ営業は「無理ですね」。
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