「さっきまで動いていたのが食材に」。
セミやケムシといった昆虫を味わうイベントが、名古屋市内で9月に開かれた。
食糧難を救う手段として注目される「昆虫食」。
数多くの「なごやめし」を生んだ名古屋で、新たな料理が生まれるかも。
私も参加した。

■くねくね元気な姿に…

「第4回セミ会in名古屋ケムシ編」に集まったのは9〜58歳の男女12人。
主催する國枝彩帆(くにえだあやほ)さん(27)と西川健一郎さん(26)がSNSなどで呼びかけた。

今回のメイン食材は、ガの一種、モンクロシャチホコの幼虫(通称サクラケムシ)。
その名の通り、桜の葉を食べて育ち、羽化する前の秋が「旬」の「比較的メジャーな食材」(國枝さん)だ。
あらかじめ捕まえて冷凍していた約300グラムに加え、
愛知県内の河川敷でこの日、捕まえたばかりの「朝採りケムシ」が約15匹。
くねくね動く元気な姿に、皆のテンションも上がる。

ほかの食材は、8月に公園で採取し冷凍保存したセミの幼虫と成虫、
ゴミムシダマシ科の幼虫「ミルワーム」や乾燥コオロギ、粉末のカイコパウダーなど。

メニューは、調理師免許を持つ西川さんが考えた8品。
西川さんの指導で、手分けして調理する。

冷凍サクラケムシは刻んで使う。
バーニャカウダはサクラケムシのうまみと香りを残しつつ、
アンチョビとニンニクで味を調えるのがポイントだ。
「朝採り」は素材の風味を生かすため、丸ごとさっとゆでる。

愛知県日進市の平井義敏さん(38)と嵩太郎(しゅうたろう)君(9)親子の担当は
「ミルワームとナッツのサラダ」。
ミルワームを素揚げする時にバチバチと油がはねてひるんだが、鍋のふたで身を守った。

記者はデザートの「セミチョコアイス」を担当。
砂糖漬けしたセミの幼虫と成虫を、湯煎で溶かしたチョコレートと生クリームに混ぜる。
バットに置いて冷蔵庫で固め、バニラアイスに載せる。
セミの羽付きと羽なしの二つを作ってみた。

■虫の存在感ゼロ

1時間ほどで料理は完成。
いよいよ試食だ。
カフェのランチメニューと見まがう出来栄えで、「ゲテモノ」感はほとんどない。

サクラケムシのバーニャカウダは刻んであり、虫の存在感ゼロ。
ゆでた「朝採り」をポン酢で味わうと、黒いケムシの姿からは想像もつかない、まさに桜の味。
お酒にも合いそうだ。

写真:サクラケムシのペペロンチーノやカイコのチーズリゾットなど、完成した昆虫食ランチ
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171002000822_comm.jpg
写真:デザートのセミチョコアイス
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171002000820_comm.jpg
写真:セミの幼虫と成虫を生クリームとミルクチョコでコーティングしたもの
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171002000815_comm.jpg
写真:ミルワームとナッツのサラダを盛り付ける、平井さん親子
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171002000824_comm.jpg

以下ソース:朝日新聞 2017年10月3日07時30分
http://www.asahi.com/articles/ASK9T5RCPK9TOQIP007.html