わたし的には新コロンボシリーズ最高傑作です
この作品、静かに狂っていた女性が犯人です
私事になりますが、私は以前、ある女性と面談中、突然、目の前に座っている、
きちんとスーツを着こなして穏やかに話す、清楚な雰囲気の彼女が、
明らかに発狂している人間であることに気が付き、真っ昼間にも関わらず
背筋が凍る恐怖を味わったことがあります
スレチになりますから詳細は省きますが、人間は時として静かに発狂して、
それに他人が気が付かないことがあるのだということを、
恐怖体験として思い知らされました
ですから、今回のこの犯人、現実的にはあり得ると私は思いますし、
リアリティもすごく感じました
もともと繊細な役、神経質な役を得意とする女優さんですが、ラストシーン、
とうとうコロンボを仕留めたと思った瞬間に形相が一変し、
瞬時に人相が変わるところは大好きっす
それとこの作品、シナリオのあらが少ないのも特筆すべき点です
コロンボシリーズでは往々にして、おいおい、そんな証拠で観念するのかいない、
というラストがありますが、この作品ではラストの犯人の自白にも
ちゃんと理由付けがなされています
彼らの罪を目の前で断罪して、お前を殺すのは私なのだと、
理解させてから殺さないと心の平安が得られないという狂った論理です
そしてその結果として、自らが第一級殺人罪で罪に服そうとも構わない
という恐ろしい論理です
コロンボの前で、疑われる行動をあえてするのも、
我が身にコロンボを引き寄せるためだと、ちゃんと理由付けがされています
その彼女の狂った論理を逆手に取ったあまりに鮮やかな大どんでん返しは、
最高のカタルシスだと思います