裁判官は酢を飲んだような顔をした。弁護士が何か言いかけたので声をかぶせる。
「もう一つ。動機が利己的とはどういうことでしょう。確かに私は殺したかったから殺しましたから、理由は自分のため、つまり利己的です。しかし、それはそんなに異常なことですか? 赤の他人のために親切心から人を殺すなんて、余計に始末が悪いように思いますが。それは結局、赤の他人の利益を優先するという自己の判断に基づくものであり、言い換えればそれは自分が納得するため。つまりは自己満足であり、利己的であることに違いはありません。誰かに強制されてーー例えば殺さなければお前を殺すと脅されて殺人を犯したとしても、そんなに他人の命が大事なら自分が死ねばいいでしょう。やはりそれは『自己の生命を最優先した』という利己的な動機です」
「裁判長! このように、被告人は著しく精神の平衡を欠く状態でして……」
「心神耗弱などではありません。わたしの頭脳は明晰です。ただ、ここで議論されていることがよくわからない、というだけで」

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とまあ、金が取れるレベルってのはこの程度にゃ書くもんなんだよ
未発表原稿見せてやったんだから感謝しろよヒヨコww