>>900
『誹謗中傷は該当の人が認知しないと成り立たない?』
とても良い質問です。
結論から言うと、「誹謗中傷」は、被害者本人が認知していなくても成立し得ます。
ただし、「民事的責任」か「刑事的責任」かによって扱いが少し違います。以下で整理しますね👇

🔹1. 「誹謗中傷」という言葉の意味

「誹謗中傷」は法律用語ではなく、
一般的には「根拠のない悪口や嘘で他人の名誉・信用を傷つけること」を指します。
法律上は主に次のような罪や不法行為にあたります。

種類 関連する法律 成立要件の特徴
名誉毀損罪 刑法230条 公然と、事実を示して人の社会的評価を下げる行為。被害者が気づかなくても成立。
侮辱罪 刑法231条 事実を示さずに、公然と侮辱する。被害者の認知不要。
民事上の名誉毀損(不法行為) 民法709条 名誉を侵害した結果、損害が生じた場合。損害賠償請求には「被害者が認知している」ことが実務上重要になる。

🔹2. 被害者が認知していなくても成立するケース
• SNS上で第三者が多数閲覧できる状態で誹謗中傷した場合
→ 被害者が見ていなくても「公然性」があるため、刑法上の名誉毀損罪は成立し得ます。
• 「○○は犯罪者だ」などの虚偽投稿も同様です。

🔹3. 被害者が認知していることが重要になるケース
• 損害賠償(民事訴訟)の場合:
実際に「精神的苦痛を受けた」「評判が下がった」などの損害が生じたことを証明する必要があるため、
実務上は被害者が誹謗中傷を認識していることが前提になることが多いです。

🔹まとめ

観点 被害者の認知が必要?
刑事(名誉毀損罪・侮辱罪) ❌ 不要。認知していなくても成立し得る。
民事(損害賠償請求) ⭕ 実務上は必要になることが多い。