当初は案件をあまり受けたくないと公言していたにもかかわらず、ゲームですらないナッシュ案件を受けたことは、ある種の転換点であるといえる。
これは、冠番組しかやらない芸能人がCMに出演しだしたり、公式活動に興味がないと述べていたニコニコ生放送の配信者が伸び悩んだ末に公式出演したりする状況と類似している。すなわち、従来は「好きなことをして副次的に収入を得る」ことが主体であったのが、次第に「好きなことをするのと同等に収入を維持すること」が優先されていく構図である。
わずかに案件配信を行えば容易に高額の報酬を得られる以上、それより収入が少ない一般的な社会人生活に戻ることは難しい。すでに一生分の資金を稼いだのであればナッシュ案件に取り組む必然性はないはずだが、敢えてそれを行っているのは収入を意識しているからに他ならない。

一方、その間にリスナー層も年齢を重ね、新規が参入しにくい空気が形成される。また、今回の「軍団」のように「これがこの配信のスタイルである」と固定化されてしまうため、改善に向けた雰囲気が生まれにくい。たいじ本人も、軍団で扱うゲームを事前に調整・準備することを煩わしく感じ、積極的に変化を試みない。その結果、配信内容は進化することなく、退化もせず、停滞もしくは緩やかな低下傾向に留まる。

「元世界一」「元プロ」という肩書きを活用した大規模イベント出演による新規獲得の可能性は残されている。しかし、他の配信者に対して過度に言及する傾向があるため、次第に腫れ物扱いされ、関係先から出演拒否される事例が増えていくリスクが存在する。実際、最近の釈迦によるBANルール説明を踏まえれば、たいじのような無関係な位置から言及する振る舞いを既に快く思っていない様子がうかがえる。今のリスナーからの支持は維持される一方で、周囲との乖離が進み、閉鎖的なコミュニティが形成されていく。あそこの配信はなんか違う、と。

これは、知名度を得た者が必然的に直面する「成功者のジレンマ」である。今後の振る舞い次第で将来の方向性が決定づけられる局面にあるといえよう。例えば、「たいじ杯」のような自主イベントを主催してブランディングを図るのも一策であるし、通常の配信に丁寧に取り組むことも一策である。あるいは現状のまま閉鎖的な立場を選び取るのも一つの道である。

昔から変わらない、一貫していると考えているのは本人だけで、周りの環境は日々変わっている。楽しくゲームができれば良いで本当に良いのか?楽しくゲームができているか?