>>136
立派な芥子坊主がどこにもない、土の上に落ちてるなんてこともない、そしてまとわりついていたゴキブリも、ムカデも居ない、あるのはトリカブトとそのの紫の大輪だけだった
A「とりあえずこれして」 渡されたのは長袖のジャージと軍手、ゴム手袋だった ジャージの袖を隠すよう軍手をつけ、その上にゴム手袋を重ねた
A「じゃ、中の虫の生き残り探そう」 土を掘る程度では見つからず 俺「ふるいにかけて探すか、あ、土はこぼすなよ、一応芥子粒が混ざってるかもだし、あれ外来種だし」
どこにも居ないし何なら死んだ虫の外骨格すら残っていなかった、残りはトリカブトの根についた土だった
俺「うわ、うわ、何これ、根が全部絡めてる」 A「見ろよこれ」 衰弱しきっては居たものの体中根に絡まったムカデは生きていた
「勝者、トリカブト」
俺にはそんなことは到底言えなかった、やっぱりAは少し狂ってる、もちろんそれで縁を切ったりはしないのだが

それから土の処理をしてそのトリカブトを実験場跡に植えて帰った、俺は当分ここに来ることはないと決心した




それから、始業式が来て、たった3日後のことである A「ちょっと来てくんない」 俺「あの山にはしばらく近寄りたくないな」 A「そう言わずに」
トリカブトの半径3mぐらいだったろうか、そこを中心に円形に一切の植物が枯れ草すら残さず消えていた、根本には大量の虫の死骸が散らばっていた
それからは流石にAに誘われてもあの山にだけは行かなかった トリカブトは根だけで越冬するらしい、今もあるのかは不明だが数年間Aが夏の山に通ってたし多分しばらくは生えていたのだろう




A「流石にさあ、新技法生み出したんだし命名権は俺達だよな」 俺「まだその毒で殺せたわけじゃないし、大体それで死んでもアコニチン自体猛毒だしなあ」
彼は「コドクソウ」と名付けたらしい、蠱毒草なのか孤独草なのか知らんが