「侮辱罪」とは、どんな犯罪?

侮辱罪は、「事実を摘示せずに、公然と人を侮辱する」ことによって成立します(刑法231条)。
「事実の摘示」とは、人の社会的評価を低下させるような具体的事実を指摘し、表示することです。

事実の摘示の有無は、「侮辱罪」と「名誉毀損罪」を区別するための要件です。
簡単に分けると、事実を摘示する場合が「名誉毀損罪」、事実を摘示しない場合が「侮辱罪」です。

具体例を挙げると、「ぶす」「ばか」「キモイ」「無能」など、抽象的で、個人の主観的な悪口(ウソか本当か、客観的に確認できないこと)を言ったり、インターネット上に書き込んだりする場合が「侮辱罪」に当たります。

「公然と」とは、不特定又は多数の人が、直接に認識できる状態を言います。
例えば、インターネット上の、誰でも見られるような掲示板やブログなどのコメント欄への投稿は「公然」の要件を満たします。


【侮辱罪で有罪となった実際の書き込み】

2020年中に、侮辱罪のみで第一審判決・略式命令のあった事例は、例えば、次のようなものがあります。
●インターネット上の掲示板に「○○(被害者名)
 いじめ大好き 援交大好き DQNの肉便器 特技は股開くこと」などと  
 掲載したもの

●インターネット上の掲示板に「××(地名)に出没する○○
 (被害者経営店舗名)勤務の女尻軽やでなぁ笑笑」などと
  掲載したもの

●インターネットサイトの被害法人に関する口コミ掲示板に、
 「詐欺不動産」「対応が最悪の不動産。頭の悪い詐欺師みたいな人」
 などと掲載したもの