自己愛性パーソナリティ障害 (MSDマニュアルより引用)

■症状
1. 誇大性
自己愛性パーソナリティ障害の患者は自分の能力を過大評価し、自分の業績を誇張します(誇大性と呼ばれます)。
自分が他者より優れている、独特である、または特別であると考えています。
患者が自分の価値や業績について過大評価する際、しばしば他者の価値や業績の過小評価も行います。

2. 特別であるという空想
患者は大きな業績という空想(圧倒的な知能または美しさについて賞賛されること、名声や影響力をもつこと、または素晴らしい恋愛を経験すること)にとらわれています。
自分が、普通の人とではなく、自分と同様に特別で才能のある人とのみ関わるべきであると考えています。
患者はこのような並はずれた人々との付き合いを、自尊心を支え、高めるために利用します。

3. 賞賛を受ける必要性
自己愛性パーソナリティ障害の患者は過度の賞賛を受ける必要があるため、患者の自尊心は他者からよく思われることに依存しています。
このため患者の自尊心は通常は非常に壊れやすいものです。
患者はしばしば他者が自分のことをどのように考えているかを注視しており、自分がどれだけうまくやっているかを吟味しています。
自己愛性パーソナリティ障害の患者は、他者による批判、また恥辱感や敗北感を味わう失敗に敏感であり、これらを気にしています。
怒りや軽蔑をもって反応したり、荒々しく反撃したりすることがあります。または、自尊心を守るために、引きこもったり、表向きはその状況を受け入れたりすることもあります。
患者は失敗する可能性のある状況を避けることがあります。

以下の症状もみられます。

・物質使用障害 (薬物依存)
・別のパーソナリティ障害 (演技性、 境界性、または妄想性)

■診断 (DSM-5基準)
自己愛性パーソナリティ障害の診断を下すには以下の5つ以上に示されるように、自分の価値についての過大評価、賞賛への欲求、共感性のなさが持続的に認められる必要があります。

・自分の重要性や才能について、誇大な、根拠のない感覚を抱いている。
・途方もない業績、影響力、権力、知能、美しさ、または素晴らしい恋という空想にとらわれている。
・自分が特別かつ独特であり、最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている。
・無条件に賞賛されたいという欲求をもっている。
・特権意識をもっている。
・目標を達成するために他者を利用する。
・共感性に欠けている。
・他者を嫉妬しており、また他者が自分を嫉妬していると信じている。
・傲慢かつ横柄である。