なお、ガーシー氏が懲罰の効力を争うため訴訟を提起する可能性は考えられなくもありません。その真否はともかく、一部でガーシー氏が「最高裁まで争う」と述べていたという報道もありました。

しかし、それは間違いなく徒労に終わります。というのも、裁判所が参議院の懲罰の効力の是非について判断することは、参議院の議院自律権と正面から抵触するため、「司法権の範囲外」として訴えが「却下」すなわち内容の審理にすら入らず「門前払い」されることが明白です。

なお、最高裁判所は、地方議会の議員に対する懲罰については、「出席停止」「除名処分」については司法審査が及ぶと判示しています(岩沼市議会議員出席停止事件最高裁判決(最判令和2年11月25日)参照)。しかし、これは、地方議会の自律性は「部分社会の法理」とよばれる理論に基づくものにすぎないからです。
これに対し、国会の議院自律権は、憲法において明言されている強固なものであり、その行使の是非について裁判所が審査することは憲法上「越権行為」ということになります。したがって、地方議会における懲罰について判示した上記判例は、ガーシー氏の訴えが却下されずにすむ根拠にはなりえません。