では、被害者が被害届を提出しない限り、警察が捜査を始めることもなければ逮捕されることもないのでしょうか?

(1)被害届がなくても捜査・逮捕は可能

『被害届』とは、犯罪の被害者が警察に対して「犯罪の被害に遭った」という事実を申告するものです。犯罪捜査規範第61条を根拠とした手続きで、口頭での届け出を受けた警察官は、被害者から被害届を書面で受理します。

被害届は「捜査の端緒(たんちょ)」のひとつと位置付けられています。端緒とは「きっかけ」という意味であり、被害届は捜査が発動するきっかけに過ぎません。

つまり、ほかのきっかけがあれば警察が捜査を始める可能性があり、必要に応じて逮捕されることもあることになります。たとえ被害者からの被害届がない場合でも、別の端緒さえあれば事件が発覚して捜査・逮捕される可能性があると考えておきましょう。