6.再発しやすい病気です
統合失調症は再発しやすい病気です。いったん症状が落ち着いても長期にわたって治療を続ける必要があります。 治療を中断して再発を繰り返すと、次のようなリスクがあります。
再発を繰り返すと生じるリスク
精神機能や社会的な機能が低下して、今までできていたことができなくなる
薬が効きにくくなって回復に時間がかかるようになる
多くの方が再入院になる
治療を続けて再発を防ぎながら、あなたの自分らしい生活を取り戻し、生きがいや将来の希望や夢に向けた一歩を踏み出しましょう。この過程は「リカバリー(回復)」と呼ばれています。
病気や治療のこと、リカバリーのことなど、気になることや不安があれば、医師や専門スタッフに気軽に相談してください。

7.再発のサインを見逃さない
再発の兆候(サイン)は人それぞれ違いますが、患者さん一人に限っていえば、再発するときはいつも同じパターンで始まることが多いといわれています。家族が気づきやすい再発のサインには次のようなものがあります。
家族がわかる再発のサイン(例)
1.眠れない日が続くようになる
2.イライラしている
3.食欲が落ちている
4.焦りや不安の訴えが多くなる
5.発病時の体験を昨日のことのように語るようになる
6.そわそわして、落ち着きがなくなる
7.うつ症状になり、ぼーっと考え込んだりする
8.被害的で、疑い深くなる
9.行動的になり、異性にアタックしたり、仕事にトライする
10.作業所やデイケアを突然やめて、仕事探しに出る
家族や周囲の方のサポートは再発防止の大きな力となります。 「いつもと違う」様子に気がついたら再発の可能性を疑って、すぐに受診させるようにしましょう。再発初期であれば薬の調整や生活上のアドバイスで切り抜けられることもあります。

8.制度を上手に活用しよう
統合失調症の方を支える制度(福祉サービス)には、主に次のようなものがあります。上手に活用しましょう。福祉サービスについてわからないことがあれば、医療機関の専門スタッフ(精神保健福祉士、ソーシャルワーカーなど)やお住いの地域の保健所、精神保健福祉センター、地域生活支援センターに相談することができます。

医療費をサポート
自立支援医療(精神通院)制度
精神科病院やクリニックへの通院でかかる医療費の自己負担分を原則として1割に軽減できる制度です。
世帯の所得によって1カ月あたりの自己負担限度額が決まっていますから、安心して治療に専念することができます。
暮らしと社会生活をサポート
精神障害者保健福祉手帳
精神障害をもつ人の自立と社会参加を促進するための制度です。手帳をもつことで公共料金の割引や税金の控除など、さまざまなサービスを受けることができます。お住いの地域や事業者によって提供されるサービスは異なりますから、医療機関や自治体の窓口で相談してみましょう。

生活費をサポート
障害年金
病気やケガで障害をもった人の生活費を補うお金として、加入している保険(国民年金・厚生年金・共済年金)から支払われる制度です。精神疾患によって生活や仕事に支障を来している人は障害年金の受給対象になります。
生活保護と受給資格(障害者加算)
病気などで働けなくなった人や、高齢や障害で生活が困難になった人を対象に、国や地方自治体が生活を保証してくれる制度です。
手帳をお持ちの方や障害者年金受給者には、障害の等級(1級または2級)に合わせて基準支給額に加算される【障害者加算】※を受けられます。
※手帳や年金を受けていなくても、同程度の障害と診断されていれば加算を受けられることもあります。

就労をサポート
就労に関する支援は、次のような施設で受けることができます。
病気の症状が安定してきたら、治療を続けながら働くことも可能です。病気の人を対象にした「障害者枠」のほか、「一般就労」で働いている人たちもたくさんいらっしゃいます。
上記の施設では、仕事を探している方への求職情報の提供だけでなく、仕事につく自信がない方や仕事を続けられるか不安な方を対象として職業準備訓練や職場実習、就職後の定着支援なども行っています。また、落ち着いて仕事を続けていく上で必要な生活面での支援もしてくれます。
「そろそろ仕事をしてみたいな」と思ったら、まずは主治医に希望を伝えて、これらの施設の専門スタッフに相談してみましょう。