【侮辱罪で有罪となった実際の書き込み】

2020年中に、侮辱罪のみで第一審判決・略式命令のあった事例は、例えば、次のようなものがあります。
●インターネット上の掲示板に「○○(被害者名)
 いじめ大好き 援交大好き DQNの肉便器 特技は股開くこと」などと  
 掲載したもの

●インターネット上の掲示板に「××(地名)に出没する○○
 (被害者経営店舗名)勤務の女尻軽やでなぁ笑笑」などと
  掲載したもの

●インターネットサイトの被害法人に関する口コミ掲示板に、
 「詐欺不動産」「対応が最悪の不動産。頭の悪い詐欺師みたいな人」
 などと掲載したもの



侮辱罪の厳罰化により、逮捕される範囲が広くなりました。
犯罪を犯した時、警察などに逮捕される可能性があることはご存じでしょう。ただ、逮捕と言っても、常に、無条件に逮捕が許されるわけではありません。

実は、裁判官の発布する逮捕状により被疑者(罪を犯したと疑われている人)を逮捕する場合、拘留又は科料に当たる犯罪については次のいずれかの要件を満たすことが必要なのです(刑事訴訟法199条1項)。

被疑者が定まった住居を有しないこと
被疑者が正当な理由がなく、警察などの出頭の求めに応じないこと
つまり、侮辱罪が厳罰化される以前は、インターネット上に侮辱罪に当たるような書き込みをした人であっても、定まった住所に住んでいて、警察等の求めに応じて出頭するような場合には、逮捕状による逮捕はできませんでした。

ですが、今回、侮辱罪が厳罰化されたことにより、侮辱罪はもはや「拘留又は科料に当たる犯罪」ではなくなりました。

ですから、侮辱罪が厳罰化された2022年7月7日以降に侮辱罪に当たる書き込みをした場合には、定まった住所があったり、警察等の求めに応じて出頭していたという場合であっても、逮捕される可能性があります。