有名な話だが、「左脳に脳卒中になり十分に機能せず、ほぼ右脳だけで生存することになった女性脳科学者の話」がいる。
彼女に何が起こったか?

「自分がまるで流体のようになった感覚になり、自己と外界の区別がつかなくなった」「どこからが自分でどこからが外界かの識別が出来なくなり、自分がまるで流体として外界に溶け出し、外界と一体化したような感覚」だと彼女は言う。
それは「決して不快ではなく、宇宙と一体化したような、幸福な感覚」だとも。

自意識とは五蘊皆空(色受想行識)の【識】を指すが、「自己と外界を区別する感覚」を自意識と私は定義している。
つまり彼女は相当程度自意識を喪失した(私の定義では)状態になったのである。
左脳を除く躰は健全だから、学者としての能力は、維持出来たが、自分が外界に溶け出し宇宙と一体化している状態は続いている。