大晦日､オールスターキャストで挑んだ筈の年越しライブ､先発のロボ子の乱調､ポルカの空回りもあり､にじさんじの同企画に惨敗だった
アンスレを埋める嘆きと罵倒､何処からか聞こえる「もう終わりだよ､この箱」の声…
無言でご褒美ぺくすを始めるホロメン達を尻目に､大天使かなたんは膝を抱えて泣いていた
VTuberとして手にした栄光､喜び､感動､そして何より信頼できる同僚達…
それを今のホロライブで得る事は殆ど不可能と言ってよかった

「どうすればいいの……」

かなたんは悔し涙を流し続けた
どのくらい経ったのだろうか､かなたんははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ､Ksonの腕の温もりが現実に引き戻した

「あ〜もう… 帰ってソーラン節の練習しなくちゃ……」

かなたんは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時､かなたんはふと気付いた

「あれ…？ へい民のみんなが… いる？」

ベッドから飛び出したかなたんが目にしたのは､十串を遥かに越えるリスナー達だった
千切れそうなほどに大漁旗が振られ､地鳴りのようにキセキ結びが響いていた
どういう事か分からず呆然とするかなたんの背中に､聞き覚えのある声が聞こえてきた

「かなたちゃん､ダンスレッスン！ 早くいこ！」

声の方に振り返ったかなたんは目を疑った

「余… あやめOG……？」

「何よかなたちゃん？ あやめちゃんを勝手に引退させて？」
「あくあOG…！？」

「酷い あくあ先輩を勝手に引退させるなんてかなたん全部酷い！」
「る､るしあOG……」

「寝ぼけてるのかなたん？ るしあちゃんを勝手に引退させたりして？」
「え？ ……誰？」

「カナタ？ アズキパイセンヲ カッテニインタイ サセテハダメデスヨ！」
「k… ココ！？ どうしたのその格好！？」

半分パニックになったかなたんだがふと何かに気付き､AちゃんのTwitterをチェックした
　
《こんにちは､友人Aです》

〈注目〉
18:00　ぺこみこお泊まりシャワー配信
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20:00　あくぺこもじぴったんバトル
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22:00　お悩み相談 わため命の電話
23:00　宝鐘マリンから大切なお知らせ
24:00　天音かなた､3Dプルプルマシーン耐久

随時､呆然としていたかなたんだったが､全てを理解した時､最早彼女の心には雲一つなかった

(勝てる！ 勝てるんだ！！)

黒人からモーションコントローラーを受け取り､ステージに全力疾していくかなたん…
その目に光る涙は､悔しさとは無縁のものだった……





翌日､隔離施設のアパホテルの一室で冷たくなっているなたんが発見され､ぺこらとみこちは横浜市内の病院で静かに息を引き取った