解説者
弁護士 石井邦尚

1.契約書を交わしていないのに契約が成立した? 契約書に書かれていない責任を負う?
ビジネスの取引で、契約書は非常に重要です。しかし、民法など日本の法律では、一部の契約を除いて(例えば、保証契約は書面による必要があります。民法446条2項)、契約の成立に書面は必要とされていません。口頭で契約を締結することもできますし、軽い口約束のつもりが契約と認定され、訴訟で負けることもあります。口頭で成立するくらいですから、単なるメモ書きのようなものを交わしただけで契約が成立したとされることもあります。

また、表題が「合意書」「覚書」となっていても、原則として契約書と同様の法的拘束力があります(「契約書」「合意書」「覚書」については、次回の当コラムで解説します)。契約書を交わしていても、契約書に書かれていない口約束が契約の一部と認定されることもあり得ます。また、例えば契約書に書かれている条項の解釈が争いになったような場合には、契約を締結するまでのやり取りやパンフレットなどが参考とされることも少なくありません。

契約書は重要ですが、「契約書がすべて」と勘違いして、「契約書に書かれていなければ大丈夫」などという姿勢でいると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。