Q,誹謗中傷とはいえ表現の自由では守られないのでしょうか?

成蹊大学 法学部 安部圭介教授

結論からいえば、多くの「誹謗中傷」は表現の自由では守られません。
ネット上に事実に反する書き込みを行い、公的立場にあるわけでもない人物の社会的評価を低下させた場合、書き込みが表現行為だからといって免責されないことは明らかです。
名誉毀損、すなわち「人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価」を低下させる行為は不法行為とされていますので、表現行為であっても、慰謝料その他の損害賠償を命じられることになります。
表現の自由を手厚く保護するアメリカでも、名誉毀損は不法行為です。表現の自由があるからといって、公的立場にない人物の社会的評価を低下させる「誹謗中傷」が認められると主張することは、明らかに無理といってよいでしょう。