現在はゲームでの利用が中心だが、五感全体に働きかけるような装着器具やソフトウエアの開発が進めば、人々との交流やビジネス、学習、買い物などの形態が一変すると期待されている。ネット交流サービス(SNS)大手のフェイスブックが2021年10月に社名を「メタ」に変更し、メタバースを中核事業に育てると表明したことをひとつのきっかけに、世界的な開発競争が始まっている。

 一般公開に先立ち、日本企業では、パナソニックがメタバース事業に本格参入すると表明し、VRグラスなど関連製品を発表した。このうち「MeganeX(メガーヌエックス)」は約250グラムと超軽量のメガネ型VRグラス。360度の映像を楽しめるほか、体の動きに合わせてデジタル空間を前後左右に移動できる機能を搭載した。価格は10万円未満に設定し、子会社シフトールの製品として今春に販売する。VR用ヘッドセットは、メタ傘下のオキュラスや台湾携帯大手HTCが両目を丸ごと覆うゴーグル型でシェアを伸ばしているが、パナソニックは軽さと映像の鮮明さで消費者にアピールする。

 このほか、パナソニックは背中に取り付けることで仮想空間の場面に応じた寒暖の変化を感じられる端末も発売するなど、ハードウエアを中心にメタバース関連機器を進化させていく方針だ。

 ソニーグループは、メタバースを活用したスポーツ観戦のイメージ動画を会場で放映する。英サッカーの強豪クラブ、マンチェスター・シティーと提携し、ホームスタジアムのエティハド・スタジアムを仮想空間で再現する実証実験を始める方針で、サッカーファン同士がアバターを操作し、コミュニケーションを取れるようにする。

 また、米半導体大手エヌビディアは、よりリアルな仮想空間を作成できる基本ソフト「オムニバース」を無料公開すると発表した。重力や光の反射を現実世界のように再現する機能を持たせ、ソフトウエア開発業者がメタバース用コンテンツを制作、販売できるようにする。韓国のサムスン電子やLG電子などはCESに合わせて公開した仮想空間で自社の家電製品などを展示した。