>>69 だけどピスタチオの推理が異常だとは思えないという人も割と居たことが心残りなので最後にその根拠を補足しておく
確かにピスタチオがどれくらい異常であるかを表す数値はまだ出してなかったし半信半疑になってしまうのも無理はない
不正の有無という悪魔の証明は根本的に不可能ではあるが経験科学においては統計学を用いて判断している場合も多い
これを説明しようとするとふにんがすとは全く関係ない長い話になってしまうが頑張って解説するので少しでも興味があるならば読んでほしい

2人が黒に投票する確率が96%(157/163)と70%(124/176)だという結果が得られたとして
この2人の投票傾向に有意差があることを示すためには「投票傾向が同じであると仮定する」ことがどれくらいおかしいのかを求めればよい
このおかしさを確率として表した数値をp値と言い、ここでは確率pくらいの上振れを引いていたとしたら投票傾向が同じくらいになりうると考えてもらったらよい
有意差があると判断するp値の閾値を有意水準と呼びこれは分野などにもよるがp<0.05 (5%)を採用してる場合が多い

後は何らかの統計的仮説検定を行ってp値を求めればよいが、2人が黒に投票する回数は大まかには二項分布という確率分布に従うであろうということと
ピスタチオの推理の確度は極端に高いということを踏まえてここではFisherの正確確率検定という手法を採用する
手計算はきついのでRか何かを使うことになるが結果としてp=3.6×10^-11<0.05が得られるので最初の仮説は間違ってるだろうし有意差があるとも言える

p値がかなり小さいという結果が得られれば最初に立てた仮説はかなりおかしいということになる
そういう結果が得られた例を挙げると、モデルナ社のmRNAワクチンの有効性は95%だと主張されているが
治験で用いられたワクチンの有効性が30%以下であるという仮説に対するp値は0.001未満であるらしい↓
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2035389

更に極端なp値の例を挙げると、一昔話題になったHiggs粒子発見の報というのは独立した3つの検出チャンネルの結果を合わせることで
ある質量範囲に新粒子が存在しないという仮説に対するp=10^-9という凄まじい値を得たために「発見された」と主張されているらしい↓
https://arxiv.org/pdf/1207.7214.pdf

今回求まったp値は更に2桁も低いわけだが、もちろんピスタチオの異常さとHiggs粒子の存在みたいな事例をp値だけで比較しようとするのは完全に間違ってる
また、投票が行われる過程が本当に素性の良い確率分布で表せるのかどうかはちょっと判断しにくいし
投票傾向を評価したい以上吊り意識なども考慮しなくてはならないだろうから真のp値はもっと高い可能性もあり得る
しかし、誤解を恐れずに言ってしまえば統計学的にはピスタチオが普通の投票傾向であると信じることは新粒子発見の報を疑う以上におかしいということになる

ピスタチオの推理が異常だと言うことは出来ないという主張を言い換えると有意水準をp<10^-11程度以下に設定すべきだと言ってることになる
例えばワクチンの有効性を示すにはp<0.0001でなければならないと主張する反ワクチン派がいたとしてもいいとは思うが
分野ごとに大まかに決まっている有意水準を恣意的に引き下げることは経験科学としてあまり褒められることではないだろう

有意性があるかないかの際にあるデータしか扱ったことがないからかもしれんが
社会学の調査みたいなデータからこんなp値が出てくるのは初めて見たし俺自身はピスタチオの推理に何かあると思わざるを得なかった
会議結果にまで影響していることも分かっておりふにんがすのエンタメ性を削ってる可能性が高い以上見過ごしたくもなかった

正直ここまで事が上手く運ぶとは思ってなかったので建設的な意見をくれた人・有意義な批判をくれた人には感謝しかない
また、本人は決定的な証拠が出ていないしそのうちほとぼりが冷めると思っているのかもしれないが
このような再現性を考慮した検定結果が示されている以上疑惑がうやむやになることは絶対に無いという警告をしておく
このまま何事も起きることなくフェードアウトしてくれることを強く願ってる