自己愛の強さゆえに、自己愛性人格障害の人は「自分は特別で、優秀で、誰もが羨むような素晴らしい人間である」という現実離れした自己イメージ(いわゆる理想の自分像)を持っていますが、あくまでもそれは理想に過ぎません。

現実は至って平凡でとりわけ優れているとか、他人が羨むほどの惹きつける何かがあるわけでもない。しかし、当の本人はまるで自分は著名人やその道のプロフェッショナルであるかのように振る舞い、賞賛の声や周囲の注目を集めようとする。
理想と現実の自分があまりにもかけ離れすぎて不釣り合いな状況なのが、自己愛性人格障害の人には顕著です。

そのことに疑問や不信感を感じた人がつい現実を突きつけるような言葉を発っしてくるものの、その言葉を受け入れれば自分の自尊心がひどく傷つくために、相手をひどく罵る、「アンチ」などのレッテルを貼る、見下して蔑む、憐れむ対象と見なす…などの方法で対処しようとします。

なお、自己愛性人格障害の人は、現実を突きつけられるような手厳しい意見を口にする人が苦手なために、自分おだててベタ褒めするようなイエスマンばかりと関わり、馴れ合いの人間関係を構築することがあります。

肥大化した自尊心のせいで他人から認められたい欲求は強く持っているものの、手厳しい批判や指摘の声が来るような人間関係になるのは避けたい気持ちがある。

そのため、自分の承認欲求を満たせて且つ、安心感を抱けるようなぬるま湯の関係にのめり込み、そこから抜け出せなくなることが目立ちます。