スクランブル交差点を見下ろすようにそびえるビル群の煌々と輝く巨大モニターも、20時になるとそのいくつかが音もなく消えていった。

緊急事態宣言からおよそ一ヶ月。

いまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威に世界中が翻弄されているなか、路上にあふれる渋谷の若者らは何を思っているのか。

消灯後の渋谷で
2021年4月23日、東京都知事の小池百合子氏が定例会見にて20時以降は街頭の看板やネオンなども消灯するよう関係団体に要請すると発表した。

4月25日からは緊急事態宣言が発令。当初5月11日までとされていたが、感染者数を鑑みて5月31日までの延長が決まった。

東京都からの“消灯要請”をうけて、大型モニターが消灯された後の、渋谷の金曜の夜。

営業を続けている店舗も決して少なくない。街は多くの人で賑わっている。

一見すると、普段の渋谷と全く変わらない光景がそこには広がる。

しかし、唯一これまでと異なるのが、道端で、軒先で、街灯の下で、座り込んで酒盛りをする人々の存在だ。

「メディアがどれだけ本当の情報を流しているのか」
チャミスルを飲んでいたのは、20代の男性2人。聞くと、埼玉県から来た兄弟だという。

食事を終えた後、店内ではアルコールを提供していなかったため、コンビニで購入してそのまま路上で飲み始めたという。

「メディアがどれだけ本当の情報を流しているのか」と、終わりの見えない抑圧された日々で積もった不信感があらわになった。

「オリンピックのためについてる嘘を、俺らに押し付けられちゃってる感じがして」

国民には自粛を呼びかける一方、東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行する国やそれを支援するメディアは、もはや彼らにとっては信用できない語り手でしかない。

だから発表される感染者数の数字やデータも意味をなさない。耳の痛い話だ。

「大人の考えと若者の考えが一致しないのかなって」と言う彼らは、特に深刻そうでも悲壮でもなく、淡々と語る。

5/17(月) 20:35
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https://news.yahoo.co.jp/articles/d9bd348dfd3d11a4c155543770023129824ad196