「はーい、こんばんはー。バーチャルユーチューバー楠栞桜です。」
塩卓の騎士12人の前で配信開始でのお決まりの挨拶をこなした。
昨年のec76バレを受け、1万人以上の視聴者を集める個人勢Vtuberだったかつての栄光はもはや見る影もなかった。
「今日、凸待ち雑談しまーす。みんな私に質問してね。」
2021年、信者は流れ、十分な収益の確保が見込めなくなった栞桜だった。
囲いと疎遠になりながらも、栞桜はこうして細々配信を続けていた。
「さっそく来た。もしもーし。」
『お前アイドル部裏切ったクズだろ?いつまでこんな配信続けるの?』
「こんな配信。」
『角田だっけ?麻雀界に可愛がられてた内が関の山…』
「違う!!麻雀は私にとって…永遠の趣味で…出世の手段で…」
『もう麻雀界もお前なんてお呼びじゃねーんだよ!』
(ブチッ)
「ハァー!ハァー!…だめだだめだ…」
耐えかねた彼女は、パソコンの電源を勢いよく引き抜いた。
「うう…うう…みんなどこに行っちゃったのぉ。…みった、てんま、ぶぅ、ジョナさん、クレア…うわああああああああああああん!!」
泣いてもあの頃には戻れないのは自分が一番わかっているが、彼女に涙は止められなかった。