栞の席の屏風越しに、後席の客声が聞こえてきた。

「ほんに、この町の遊女は、ええ女がおらんのう」
「都の遊郭ゆうかくには、べっぴんがぎょうさんおるちゅう噂じゃ」
「でも、高いんじゃろ?」
「いい女を抱けるんじゃぞ? 安いもんじゃろ」
「それもそうじゃ」
「わははははっ」

後席で、一斉に机を叩いて笑い出す声。

なんじゃい。
大人の男は、女を抱くことしか考えておらんのか。
まあ、オラも男じゃがの。

茜ちゃん。
将来金に困って、遊郭で働くんやろか。
遊女の仕事で、毎晩、知らん男を抱くんやろか。
「ねぇ、あたしを抱いて?」とかゆうて。
茜ちゃんが、遊郭で知り合った男と寝るんやろか。
オラの妄想が膨らんでゆく。

オラは首を横に振る。
そげんなこと、オラがさせんけえの。
茜ちゃんは、オラが守るんじゃ。
オラは握り拳を作る。