二人が、抜く。

──それはフランコの生涯を通して、もっとも長い一刹那だった。

銃口の先に敵を捕らえ、その一撃の必殺を確信した上で引き金を絞った直後──

雷管を叩いた撃鉄が、ただ虚しい金属音のみを立てて沈黙した。

伝説の『黒い鷹』が、嘶くとこなく押し黙る。まるで持ち主を拒絶するかの如く。

不発──
何千、何万発と射撃を重ねて、初めて巡り合った不運。
その有り得ないほどの希少確率の事態に愕然となったとき……

粉塵の向こうから轟いた銃声が、フランコを叩きのめした。

柔らかい金属の弾丸は体内で大きく変形し、着弾の衝撃を最大限に発揮する。
その点、金髪の女が誂えた黄金製の弾こそは、極めつけの軟弾頭だった。

フランコの脇腹から侵入したコイン一枚ぶんの黄金は、体内で飛沫を散らすが如くに飛散してすべての内臓を八つ裂きにし、運動エネルギーのすべてを注いで彼の身体を背後へと跳ね飛ばす。

「が……」

そのまま大地に叩きつけられ、俯せに伸びたフランコは──だがそれでも意識を失わず、右手の銃も手放さなかった。
最強の男として名を馳せた拳銃使いの、せめてもの意地だった。