若い女性が泣き叫んでいる。上半身裸の5人の男たちが女性を担ぎ上げ、手足を押さえつけて、まるで肉の塊のように運んでいく──。インドネシア東部、スンダ列島に位置するスンバ島で6月16日に起こった事件だ。近所の女性が30秒ほどの動画を撮影し、SNSに投稿した。

インドネシアの有力紙「コンパス」は「地元住民はこの行為を“誘拐婚”と呼び、共同体に古くから伝わる習慣のひとつとみなしている」と報じる。

スンバ島の住民たちは公式には1世紀以上も前からキリスト教に改宗しているが、現在でも「マラプ教」という先祖伝来の宗教と巨石墓を信仰している。

宗教団体や人権団体からあがる非難の声

投稿されたビデオはすぐに、スンバ島の教会や女性団体、人権団体の怒りを引き起こした。インドネシア女性神学者連盟の地元支部書記ヘルリナ・ラトゥ・ケンヤは「コンパス」紙に次のように語っている。

「こうした行為はもう容認できません。人道に対する罪が女性たちを脅威にさらしています。彼女たちは、自分自身ではなんの決定権も持たず、訴えても無視されてしまうのです。きわめてゆゆしき事態です」

同紙は2020年1月にはすでに、スンバ島の「誘拐婚」を告発している。誘拐婚は2019年にも何度も起こっている。大ナタで武装した男たちが、なすすべもない家族や隣人の目の前で、若い女性を自宅から誘拐していくのだ。

「伝統」によって守られてきた犯罪

スンバ島で女性の権利のための活動をおこなっているサロミ・ランブ・イルは、誘拐は「ヤッパ・マラッダ」と呼ばれる非常に古い伝統だと説明する。被害者が助けを求めても、誰も手を差し伸べないのはこのためだ。誰もが強力な慣習に従っている。イルは憤慨する。

「女性は誘拐されるとすぐに、彼女を妻にしたがっている男性と一緒に、部屋の中に閉じ込められます。拒否すれば、手足を縛られ、誘拐にかかわった男たち全員からレイプされます。男たちは“手なずける”ためだという言い方をします。ほんとうに家畜のように扱うのです」

「コンパス」紙によれば、誘拐婚は女性に深刻なトラウマを植えつける。望まない妊娠が発覚し、自殺を図る女性もいる。ところが、これまで誘拐婚は実質的には司法の裁きを受けてこなかった。

被害者の家族や友人たちは慣習を破ることを恐れ、訴訟に消極的だ。結果として、地元警察も動かない。


インドネシアって怖いところなんやね…(´・ω・`)