>>890
「……ねぇ、ばあちゃるさん。具合悪そうだし、今夜はどこかのホテルで部屋を借りません?」

「んーー? いいんじゃないっすかぁ〜〜?」

「……そう、ですか。じゃ、ホテルいこっか」
言質は取った。あとは行動あるのみだ。
まともに歩けないばあちゃるの肩を組み、揃って歓楽街へと足を踏み入れた柾は手近なホテルに入ると、受付で一泊コースを選んだ。
乗り込んだエレベーターが上昇していく中、彼女の心はこれから始まる彼との交わりに期待すると同時に、耳を塞ぎたくなるような罵倒の声を上げていた。
何が相棒の魔の手だよ。その相棒の切り札を奪ったことを正当化した挙句、狡猾にも利用しようとしている自分の方がよっぽど悪魔じゃん。この卑怯者。
そう訴える心の声を、柾は努めて黙殺した。今はただ、この甘美な夜に溺れていたい。そう自分に言い聞かせて。そして──