>>834
そんなわけで法と正義の名の下に小瓶を押収した柾だったが、実のところその扱いに頭を悩ませていた。一般的な倫理観に従うのなら、これは真っ先に捨てるべきものだ。しかし……と柾は考える。
彼女の想い人が朴念仁であることが、界隈ではそれはもう有名だ。彼女がかつて彼の元にいた時、恵まれた容姿で何度アプローチをしても、なびくどころかそもそもアプローチだと気づきもしなかったことは記憶に新しい。
なお念のために、彼女の行った『アプローチ』はそのどれもが小学生級で、見ていて微笑ましいレベルのものだったものはここに付け加えておく。
柾が落とさなければならないのはそんな相手なのだ。少しでも手札は多い方がいい。でもなー、と頭をブンブン振って再考する。そんなことを繰り返す日々が一カ月ほど続いた。