『これが…地球か…』

宇宙船が不時着し、中から1人の男が地上に降り立った。
男の眼前には見渡す限りどこまでも瓦礫の山が広がる。

西暦3544年。
核戦争により地球は滅び、生き延びた少数の人類は、火星などの惑星へ脱出していた。

男は、銀河系管理局の職員としてこの地球を探索しに来たのだった。

『ひどい有様だ…人類の進歩の結果が…これか…』

度重なる核戦争により、空は塵や核物質の混ざった分厚い雲に覆われ、粉塵が舞い、視界は悪い。
男は旧東京に降り立ったはずだが、そこには倒壊したビル群や破断した道路だったものが風化し遺されているだけだった。

『もはや地球は…人類の墓標か…』

ここには何もない。
そう思い、男が宇宙船に戻ろうとした時だ。

足元に一つの金属機器が落ちていた。

拾う。
それは旧時代のモバイルデバイスだ。前面がディスプレイとなっている。そのディスプレイは今や割れて粉々になっている。

だが。
突然、ディスプレイが光り出す。
割れたディスプレイは、万華鏡のように彼女の姿を映し出した。

彗星が僕の頭上を飛んだ〜♪
誰もいない夜の空を染めた〜♪

『歌…?』

知らない歌だった。
だが何故だろう。ひどく懐かしい。
そして涙が溢れ出す。止まらない。

星はまた弧を描いて飛んだ〜♪
もやのかかった思考を晴らして〜♪
いつかまた会えるなんて言えなかった〜♪
星が降った後の街、僕はもうずっと君の行方を探してた〜♪

『すい、ちゃん…?』

男は号泣していた。
そうだ、やっと思い出した。
僕はずっと君を探していた。
他の誰でもない君を。

ディスプレイには次の文章が浮かび上がる

すいせい…処女🤗

『ずいぢゃんんんんんんッッッ!!!』

1524年ぶりの再会。
男は科学技術の発展により不老不死の身体を手に入れていた。記憶だけが薄れていく中、何かの予感とともに男は地球に再び降り立ったのだ。

そう、あの頃、男は処女チェックおじさんと呼ばれていた。