「ウェイ!wブフォーウ」
迷うことなくボスを最下位に蹴落とし誕生日の接待などお構いなしに場を凍らせる男の元に一通の通知が届いた。
『平日スマバト』
この1年あばだんごは欠かさずこの配信を見続けてきた。理由はただ1つ、憎き古川の無様な負けっぷりを見て1週間の活力に変えるためだ。
「今日は珍しく勝ち進んでるのか…」
最速敗退をしていた日には涙が滲むほど笑い果てたが、勝ち進むならばそれはそれで配信台で負ける姿を拝めるというものだ。
しかしあばだんごの予想に反してこもりきりはGFまで残った。スマバトで心中したベレスを捨ててまで。
ルーザーズを駆け上がって来たこんぱくととの1戦目、触れることも出来ずメテオで撃墜されたウルフに口角が上がる。が、違和感がぬぐえない。棒立ちのウルフが崖上がりを咎められない姿を見ても気分が高揚しない。何故、何かがおかしい。
リセットがかかった初戦、見違えるように相手を圧倒し始めるこもりきり。ウルフの空前空後を見て自然と拳を固く握るあばだんご。そこにある感情はもはや負の感情を纏ってなどいなかった。
着々と対応を重ね硬い立ち回りでリードを奪い倒しきる、あの時から変わらないスタイル。気持ちが昂るのを止められない。もう自分の気持ちに嘘はつけなかった。
こもりきりが勝利した瞬間あばだんごは思わず立ち上がった。自覚してしまった。この気持ちは、きっと───


『就活するのでオフには出れません』


その日、スマブラ界から二人の男が消えた。