次の瞬間、油の切れた巨大な機械の発するようなおぞましく耳障りな音がホールの奥の大型テレスクリーンから飛び出してきた。歯が浮き、首の後ろで毛が逆立つような不快感を催させる音。〈憎悪〉が始まったのだ。

 いつものように〈人民の敵〉■■■■の顔がスクリーンに現われる。席のあちらこちらから非難の声。青の髪をした障碍者が恐怖と嫌悪の入り混じった金切り声を上げた。

■■■■は変節者、脱落者であり、ずっと昔には(どれほど昔のことか、誰もろくに覚えていなかった)アイドル部の一人で、〈BIG Cherry〉と並ぶ地位にあったのだが、その後、反革命運動に加わり、死刑を宣告されたものの不思議にも脱出したまま姿をくらましていた。

〈二分間憎悪〉のプログラムはその日によって違ったが、■■■■が主要人物として登場しない日はなかった。彼は第一級反逆者であり、アイドル部の純潔を汚した最初の人物だった。
アイドル部に対するそれ以降の犯罪はすべて──裏切り、破壊活動、異端行動、逸脱行為の一切──彼女の教えから直接生まれたものだった。

どこであるにせよ彼女はまだ生き延びていて、陰謀を企んでいる。ネットの海の彼方のどこかで、資金を出してくれる囲いの保護を受けているのかもしれない。