ああ、気持ち悪い
いつもひきつった笑顔を顔に張り付けて愛想笑いしている自分が心底気持ち悪い
さくゆいの先輩方に媚びを売って、ロアのわがままに答えている毎日
最近は男子で一番人気の吸血鬼と付き合ってるなんて噂まで流れ始めたけど、本当に勘弁してほしい
あんな自分勝手な野郎なんか嫌いだ
でも、人気のあるグループにいつもコバンザメしてご機嫌をうかがっている自分自身はもっと嫌いだ
だからこそ、いつも教室の隅で揺れる、赤いフードを目障りに感じたのかもしれない
いつも一人でいる”彼女”が羨ましくて、いじわるしたくなったのかもしれない

千歳「ねえ」
千歳「ねえってば」
明治「なぁに?」
明治「えっと、千歳ちゃん、だよね?」
千歳「クラスメイトの名前くらいちゃんと覚えてろよ」
千歳「なんでいつも一人で鼻歌を歌ってるの?」
千歳「恥ずかしくないの?」
千歳「一人でいるの」
明治「うーんと、うーん...」
明治「...」
明治「めいね、歌うのが好きなの」
千歳「え?」
明治「だからね、今とっても幸せなの」
千歳「...」
明治「歌うのが大好きだから、一人でいても平気なんだ」
千歳「...」
千歳「.......」

それから視界の隅にちらつく赤いフードがいつも気になるようになった
常に教室ではきょろきょろして、自分の立ち位置を探っている毎日は変わっていない
でも、いつも私の心を覆っていたもやもやが少し晴れたような気がした
休憩時間に聞こえている彼女の鼻歌を聴くのが毎日の楽しみになっていた
いつの間にか彼女のことが頭から離れないようになった
私は彼女のことが_______________