その宇宙人は、うまくできていた。女の宇宙人だった。桜のプリンセス的なものだから、可愛かった。
あらゆる可愛いの要素を取り入れたので、完全な可愛い子が出来上がった。
もっとも、少し抜けていた。 だが、抜けてしていることは、可愛さの条件なのだった。
それは自分探しの旅でやってきた。やってきたのは、バーのだった。お客は変わった服装の女の子が入ってきたので、いちおう声をかけた、名前と年齢を聞かれた時だけはちゃんと答えたが、あとはだめだった。
それでも、宇宙人と気がつくものはいなかった。
「なまえは」
「 ンボちゃん」
「としは」
「まだわかいよ〜」
「いくつなんだい」
「まだわかいよ〜」
「だからさ」
「まだわかいよ〜」
可愛くて若くて、抜けていて、答えがおうむ返し。ンボちゃんを相手に話をし、酒を飲み、ンボちゃんにも飲ませた。
「お客の中で、誰が好きだい」
「誰が好きかな」
「ぼくを好きかい」
「あなたが好きかも」
「今度映画へでも行こう」
「映画へでも行こう!」
「いつにしよう」
答えられないときには、マスターが飛んでくる。
「お客さん、それ以上からかったら荒らしとみなす」