2069年4月

私の名前はヤマトイオリ。
今年で73歳だけど現役アイドルです。
なんでそんな歳でアイドル活動ができるのか?
それはバーチャルアイドルだからです。
バーチャルの私は歳をとってもずっと若いです。
声帯は少しずつ変わって行ったけどそれでも
ファンのみんな今の私を受け入れてくれています。

今日は老人ホームでトークイベントをします。
昔はこういう場で12人で参加してましたが今は
私だけです。ほかのみんなは亡くなったり
途中で引退をしたりして今は私だけです。

老人ホームでのイベントは何度か行ったことがありますが
どれも利用者さんや介護士のみなさんがとても明るい
笑顔を見せてくれるので私は大好きです。

今日の老人ホームでは初めてのトークイベント。
少し緊張しますがそれよりも楽しみな気持ちでいっぱいでした
その施設には一人寝たっきりのおばあちゃんが一人いて
その人だけはトークイベントを直接見ることはできないと言われましたが

部屋にいても聞こえるように大きな声で喋るので大丈夫ですと
伝えておきました。

「こんにちはーーー!ヤマトイオリだよーー!!」
私は元気な声でいつものように挨拶をしました。
するとやっぱり、私を見てくれてる人たちは笑顔でした。

「いおりーん?」

遠くからとても小さく弱弱しいけれどどこか強い気持ちのこもった
声が聞こえました。

その声は初めて聴いた声で誰かだなんてわかるはずがありません。
だけどその声にこもっている心が誰の声なのかを教えてくれました

「ごんごん!?!?」