「千歳ちゃん、千歳ちゃんの貢献度は''少なめ''だね」

その声が聞こえた瞬間、ビクリとボクの身体が自分の意志に反して勝手に震えあがる。
ボクの隣にはそれを言った彼女、同期のライバーである童田明治がニコニコと人懐っこい朗らかな笑みを浮かべながら座っている。
しかし勘の鋭い者なら気づくだろう。その愛らしい笑顔を浮かべる彼女の目は獲物に一切の容赦がない肉食獣のそれであることを。

「ご、ごめん。ちょっと疲れてて、さ」

「ふーん、不老不死でも疲れるんだ。意外とめいが思ってるより不便なんだね、めい知らなかったなー」

ニコニコと彼女は笑っている。

「そんなお疲れな千歳ちゃんが癒されるように、めいがいいものを持ってきたんだよ」

彼女は服の中から何かを取り出した。それは寺で使われる神具、巫女が神楽を舞う時に鳴らす神楽鈴だった。

「がぶがぶ〜♪」

彼女が腕を小さく振ると鈴も併せて動く。それにともない鈴の音がしゃんしゃんしゃんと鳴り響く。
しゃん。和風屋敷の回廊が見える。吐き気。しゃん。蝋燭。幼き日に視た光景。悪夢。しゃんしゃん。能面の巫女。しゃん。冷や汗が止まらない。しゃん。神楽鈴。近づく。しゃん。来ないで。しゃんしゃん。来るな。しゃん。ごめんなさい。しゃん。やだ。
しゃんしゃんしゃん「ごめんなさい、ごめんなさい」しゃんしゃんしゃんしゃん、しゃん、しゃんしゃ「ごめんなさい!」んしゃんしゃ、んしゃん「ごめんなさいぃ…!」しゃ、んしゃんしゃん―――。

「やめてえっ!!」

鈴の音が止まる。いつしか自分は泣きながらうずくまっていた。

「ゆるして、めいじーちゃん、がんばる、から。こせんじょうから、にげないから。だからもう、それはやめて」

「うんうん、千歳ちゃんがやる気になってくれてめい嬉しいな、これからも頑張ろうね!」