色んな現場に出入りしていれば、けなされることもままあります。
我々が差し出すのは自分の喋りですから、叱咤や悪口もすべて自分一人にふりかかってくる。
そのことは承知の上でこの世界に来るべきです。
「お前の声は気持ち悪い」
現場でそんなことを言われてひどくいじけたり怒ったり、その後の活動から逃げてしまう新人というのがよくいるのですが、
そういう話を見聞きするたびに、そんなことも覚悟しないで来たのかと呆れてしまいます。
自分自身で何かを表現し、発信していく以上、批判はあって当たり前です。全員が肯定してくれるはずがない。
その両方を受け止める覚悟がなければ声の仕事などやるべきではありません。
私にも、あれこれ面白くないことを言われた経験はいくらでもあります。
今だって、誰もかれもが手放しで褒めてくれるわけではありません。でもその場で我慢して終わりです。
逆に言うと、そうやって割り切れない人はとっとと生産社会に戻るべきです。

声優魂/大塚明夫