港湾地域の産業道路を疾走する黒塗りの型落ちセダン
タバコの箱が入る隙間もないほど路面スレスレまで車高を落し、タイヤをハの字にセッティングした鬼キャン
見事なまでにVIP仕様のドレスアップを施された外観で周りの車を威圧しながら横暴な車線変更を繰り返す

「あの、竹お姉ちゃん……?ちょっとスピード出しすぎなのでは」
助手席のれむっふが不安そうな声でおずおずと尋ねる
交通刑務所から出所して久しぶりにシャバの空気を満喫している竹パイペンがその問いには答えないまま
さらにアクセルを踏み込む
指の間に挟みこんだパーラメントがすっかり短くなっていることに気付いて、窓から路上に向かって勢いよく
はじき飛ばすとかわいい妹分のほうを振り返り
「出所祝いのドライブなんだからまあ多少の気晴らしはね?アタシ好みのいいクルマも手に入ったことだし」
と無邪気な笑顔で語りかける

(竹お姉ちゃん、たしか栃木で障害者の人を轢いたって……当然まだ再取得できない欠格期間だよね……)
(それに、出所したばっかりなのにこのクルマだってどうやって手に入れたのかな……)
次々と湧き上がる疑念から表情を曇らせるれむっふ
タバコを投げ捨て、ようやく右手でハンドルの頂点あたりを握った竹パイペンが横目で助手席をチラ見すると
そこにはシートベルトでパイスラ状態になったれむっふの姿が――――。

その胸のふくらみに左手を伸ばして、一揉み。ビクッと大きく肩を震わせるれむっふ
そして、間髪を入れず二揉み。れむっふがびっくりした表情で運転席の竹パイペンに顔を向ける
「あの……竹お姉ちゃん?」
「いいでしょ?アタシ、ムショ暮らしで溜まってんだよね」
いっさい悪びれることもなく、しきりに揉みしだきながら駐車スペースに寄せて停車すると、ハザードを点けて
運転席から助手席のれむっふに向かってにじり寄る竹パイペン
「竹お姉ちゃん、まず、先にトランクのアレ始末しなきゃ……」
「アレ……?ああ、けっこうかわいい子じゃん。何々、痴情のもつれってやつ?アタシがいない間にあの子と
何かあったとか?」
「ち、違ッ!」
今やすっかり助手席に身を移して、れむっふの身体の上に覆いかぶさった竹パイペンがその唇を塞ぐ……。

黒塗りの(元)高級車、そのトランクの中で手足を拘束され猿轡を噛まされた深淵が声にならない声で叫ぶ
「ん゙ゥ〜ッ!!(しりりくん……助けて!)」